性暴力被害報道の在り方、見直しを
Japan In-depth / 2016年11月27日 23時45分
牧野氏は、「1980年代から性犯罪をポルノとして楽しむ報道は批判されてきた。」と指摘。さらに近年は、人々の興味を煽るタイトルをつけた記事がSNSで急速に拡散するなど、ネット上で事件自体を楽しむような傾向が高まっており、被害者が適切な支援や保護が受けることができていないと話した。
安倍氏は「テレビや新聞は(タブロイド紙や写真週刊誌などと比べ)ある程度配慮している。」としたが、ワイドショーは制作会社に取材やVTR作成が「丸投げ」されており、「視聴者の興味をそそるだけになってしまう」危険性を指摘した。だからこそ、発注元であるテレビ局のチェック機能の強化が必要だ、と強調した。加えてネット上でも、事件や被害者に関する情報を詳細に集めた、「まとめサイト」が人気だが、こうしたサイトの自主規制なども考えるべきだ、との考えを強調した。
こうした環境の中、再犯防止に向けては、加害者の「同意があればいい、とかこんな女は被害に遭ってもいい。」といった間違った思い込みを正す教育が必要だ。さらに性の問題についてタブー視せず、家庭や学校できちんとした教育をすることも大事だとの議論もあった。
被害の経験を持つ水井監督は、被害者にならないための教育プログラムについては、どれだけ気をつけても被害に遭うことがあるし、自分が強くなっても別の人に対象が移るだけで「あまり意味がない」と話す。その上で「加害者になりうる人に予防教育」をすることが性犯罪を無くす一番いい方法だと力を込めた。
下着泥棒逮捕のニュースで、被害者の盗難にあった下着が警察署の床にずらっと並べられている映像をニュースで見たことがあるだろうか?盗まれた下着をすべて社会に晒されることで被害者は二重の苦しみを味わうことになる。
性に関わる犯罪に関しては、これまで被害者への配慮が十分といえないことも多く、それがSNSによってさらに無秩序に広がる危険性が年々増している。報じる側、そして情報を受け取る側も何が性犯罪の予防につながるのかという視点で今一度考えてみることが必要なのではないか。
トップ画像:シンポジウム「性暴力被害に対する第三者の向き合い方—報道やネットによる二次被害防止を考える—」©Japan In-depth 編集部
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