トランプ大統領を誕生させた選挙人制度 世界の選挙事情 その1
Japan In-depth / 2016年12月8日 1時29分
今次の選挙結果を受けて、主として苦杯をなめた民主党の側から、制度の見直しを求める声が聞かれるようになったことは、当然の成り行きではある。しかしながら現実には、この制度はまだ当分の間、変えられることはないであろう、と見る向きが圧倒的に多い。世上よく言われるのは、この制度のおかげで米国の二大政党制が確立してきたという歴史があるため、共和党・民主党いずれも、本気で変えるつもりはない、ということだ。
もうひとつ、憲法に明記された制度である以上、変えるためには憲法改正が不可欠の条件となるわけだが、合衆国憲法には、そもそも改正条項が存在せず、修正第X条……というように末尾に書き加えて行く「加憲」方式が採られている。しかも連邦国家であるため、各州の批准が条件となる。考えようでは、硬性憲法とされる日本国憲法よりも、全面改正のハードルは高いので、事実問題として、毎年数百件の修正条項が提起されるものの、これまで批准に至ったのは数えるほどしかない。
他国の憲法問題であるから、ここでこれ以上立ち入った議論は避けたいと思うが、歴史的な背景に問題はあるにせよ、現在はこの制度が生きていることは事実なのである。そもそも、選挙制度にいささか問題があるからと言って、トランプ候補が集めた票を無視してよいという道理はあるまい。もはや結果は明白なのであって、来年以降の日本は、否応なくトランプ政権と向き合って行かねばならないのだ。
次回は、英国の選挙制度について述べたい。
(その2、も合わせてお読み下さい。)
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