韓国「運命の日」大統領弾劾案採決へ
Japan In-depth / 2016年12月9日 1時27分
■特別検事に対峙する4人目の大統領
それにもかかわらず大統領が指揮権を持っている検察より独立的な特別検事が今回のスキャンダルを調査するのがよいという意見が政界を中心に提起された。最大野党「共に民主党」と第2野党「国民の党」が推薦した人物の中で、朴英洙(パク・ヨンス)弁護士が朴政府の『崔氏など民間人による国政介入疑惑事件究明のための特別検事』に任命された。
特検は大統領が任命する職責であり、朴大統領は自分に対する疑惑を捜査する人に捜査権を与える皮肉な立場になった。金大中(キム・デジュン)前大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領、李明博(イ・ミョンバク)前大統領など、以前の大統領のように朴大統領も特検の捜査を受けることになった。
また、政治圏の一部では、朴特検が大統領府の現在の実力者に分類される禹柄宇(ウ・ビョンウ)元民政首席と親密という指摘が出て、特検が進行する捜査が公正ではないだろうという懸念もあった。この指摘に対して朴特検は「一生検事として生きてきた私が不義に対する捜査をしてほしいという要請を拒否することはできなかった」、「この世界で30年勤務してみると、さまざまな縁があるが、個人的な縁に縛られて捜査をうまくできないということはない」と話した。朴特検の下で捜査を進行する特検補と捜査員らは、早ければ12月半ばまでに確定されて本格的な捜査に乗り出す計画だ。
■自ら降りるのか、弾劾されるのか?
今政界では弾劾を控えている。弾劾案は発議の是非と時期に置いて各党意見が食い違った。それでも朴大統領に反対する国民が多かったので12月2日 やっと国会に上程された。運命の日は9日だ。朴大統領に対する弾劾訴追案が可決されるためには、在籍(300人)議員のうち、3分の2の200人の賛成票が必要で、現在としては野党全員と与党セヌリ党の賛成票(28票)が力を加えなければならない。しかし、今のところ、可決に対する展望はまだ不透明だ。
10月からスタートした全国的な“ろうそくデモ”が1ヵ月以上続き、与野党いずれも弾劾に賛成するように見えたが、11月30日、朴大統領が「私の大統領職の任期短縮を含めた進退問題を国会の決定に任せる」と自ら退く考えはないという点(第3次国民向け談話)を明らかにし、政界が騒々しくなった。
特に野党らの分裂が深刻だった。弾劾案が可決された時、最も有力な大統領選候補(支持率1位)の文在寅(ムン・ジェイン) 「共に民主党」の常任顧問をサポートする勢力とその他の勢力がお互いに異なる政治的な計算をして衝突した。朴大統領が来年4月に、自主的にして来るかもしれないという希望的な仮説もこれらの対立を加速化した。
「国民の党」は朴智元(パク・チウォン)共同院内代表が議院内閣制への改憲に向けて、セヌリ党と手を握って弾劾の戦線から退くという疑いも受けたりした。朴大統領の第3次談話まで世論は「国民の言葉を聞かない大統領」という印象が強かったが、与野が大統領の発言をきっかけに迷い始めてから「国民の言葉を聞いていない国会」というようになってしまった。それで多数の人々は朴大統領について「やはり政治の達人だ」と評価する笑えないこともあった。
朴大統領の弾劾を要求する国民の熱望に影響を受けて、野党らは弾劾案発議まできた。もちろん憲法裁判所の弾劾審判の手続きが残っている。だが弾劾案が国会を通過すれば、実現する可能性が高いと判断される。
朴大統領は自分が望むように来年4月まで肩書きを維持できるかどうか、さもなければその前に強制的に退くことになるかによって今後韓国政治の流れが変わる見通しだ。
トップ画像:ⓒイ・スミン
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