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カジノ法案、依存症対策盛り込め

Japan In-depth / 2016年12月9日 7時0分

ギャンブル依存症は「社会のコスト」を増大させる。つまり、生活保護、貧困対策、治安改善等、知らず知らずのうちにギャンブル依存症に起因する社会問題の解決に私たちの税金が使われている。この現状に対し、田中氏は税金ではなくギャンブル産業の利益で負担をすることを主張している。「ギャンブルという産業で生まれる犯罪や治安の悪化なのだから、それは起こしている産業が負担するというのは当たり前だということが世界のスタンダード。」と田中氏は述べた。

また、田中氏はギャンブル行政の問題点も挙げた。例えば警察庁はパチンコ、経産省が競輪やボートレース、農林水産省が競馬というように現在運用する省庁がばらばらになっている。さらに規制をかけることと振興をすることが一体となっていて、売り上げが下がったら上げるために躍起になり、ギャンブル依存症の人がたくさん出るという意見は出てこない、と田中氏は説明した。どこかで規制をしたとしても、別の省庁のギャンブルは規制されない。つまり、規制によってつまらなくなったら別のギャンブルへ行くというように流れるだけで、意味がないとした。

この問題の解決には、「行政の問題点を洗い出して、一括してギャンブル依存症対策をやる監督機関を作ることが有効。」と田中氏は述べた。しかし、既存のギャンブル産業からの反発や各省庁の利権も関係し、「すごく難しいこと。」と田中氏は述べた。一方、「IR法案が起爆剤として今まで誰もメスを入れられなかったところにメスを入れられるのであればそれは画期的な事。」とした上で「これからがむしろ勝負。」と意欲を述べた。

日本のギャンブル依存症患者は推定で536万人。日本のギャンブル依存症有病率は男性8.8%、女性1.8%。対してアメリカは1.5%、スイスに至っては0.5%で日本は格段に多いことがわかる。「海外では対策が進んでいる。」と田中氏は述べ、カナダの事例を紹介。カナダでは、ギャンブルの売り上げの数パーセントが、ギャンブル依存症対策、チャリティ費、リスポンシブルゲーミングと呼ばれる費用の3本柱にあてられる制度だという。

この費用は、ギャンブル依存症対策に加え、社会的な啓発や研究、治療に、日本円にして70億円が割かれているという。たとえば日本では、ギャンブル依存症が進むと仕事ができず、生活保護を受給する。しかしそれもギャンブルに使ってしまうといったことが問題視される。日本では生活保護費も治療にも税金が使われている。カナダではそうではなく、ギャンブル産業からの支出だ。国は税金からの支出が減り、ギャンブル産業側も、安全なギャンブルを提供でき、産業のすそ野が広がるという。

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