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【大予測:仏政治】ポピュリズムの波到来?大統領選

Japan In-depth / 2016年12月26日 12時0分



2つ目に気になることはフランス経済について。10%を超えた失業率や、経済の健全化を図ることが、フランスにとって早期に解決すべき重要課題である点は2017年も変わりません。



例えば、フランスは中小企業の力が弱いことが問題になっています。フランスの大企業が極めて高い国際競争力を持ち、輸出の大半を占めているにもかかわらず、中小企業は輸出量も少なく立ち遅れているのです。また雇用に関しても全体の0.2%しかない大企業が雇用の半分を創出していることを考えても、フランスの大企業と中小企業の間に大きな偏りがあることがわかります。これが国際競争力の高いドイツになると、輸出の半数は中小企業による成果でありドイツの原動力になっているともいえ、この中小企業の質の高さの違いが両国の国際競争力の差を作っている理由の一つとも考えられています。



そこで、フランスは、潜在性が高い中小企業の育成を重視し、現在、着々と複数のプロジェクトが進められています。その一つが、2017年4月にフランスにオープンされる、世界最大のスタートアップ・キャンパス「Station F」。



アメリカの方が資金調達しやすく起業しやすいのに比べ、フランスはほんの最近まで大企業に関係ある一部の財閥関係者でなければ資金を集めることも難しく、スタートアップがとても困難であったという問題がありました。



そのことは、2010年に楽天が買収したPriceMinister社が、起業当時に注目されていたことからもうかがい知ることができます。なぜなら財閥出身でないにもかかわらず資金を集め起業し成功を収めた会社であり、その当時のフランスではとてもまれな事例だったのです。



そこで、スタートアップ・キャンパス「Station F」では、資金を集めやすい体制作りが目標とされており、特に技術系の小規模起業をしやすい環境を作っていこうとしています。



また、すでにある中小企業の支援にも着手しています。古い設備で稼働している会社に新たな設備の導入を支援したり、新技術導入の支援など、「未来の産業」を目指し、すべての企業を成功に導くために政府が強力に関与し、公的投資銀行も資金面で中小企業を全面的にサポートしているところです。中小企業の発展は、国際競争力を高めると共に、雇用の促進も期待されています。



3つ目はテロと観光業について。2016年のフランスにとってはテロが相次ぐ年となり、観光業に著しく打撃を与えています。失業率の上昇も、観光業界の失業率の高さが全体の失業率に大きく影響しているとも言え、安全の確保は、観光大国のフランスにとって重要課題の一つです。それでも2016年は厳重体制で警備することで、440件のテロ関係者を検挙し、何件かの大きなテロを未然に防いできました。そこで、引き続き、非常事態宣言を来年の7月まで伸ばし警戒態勢を維持していくと共に、観光客が戻ってくることも期待されており、各国に向けて、特に日本への働きかけが活発的に行われていくことになるでしょう。



ということで、来年のフランスは大統領選挙の影響で、GDPの伸び幅は低いと予測されているものの、その陰ではいろいろな構造改革が実行され、多岐に渡る努力が行われていることも事実であり、フランスにとって2017年は、これからの成長を促すための足固めの年になるとも言えるのではないでしょうか。



そうした流れも含めて、2017年もフランスからの情報発信を続けていく予定ですので、来年もどうぞよろしくお願いいたします。



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