【大予測:財政】楽観禁物、基礎的財政収支改善
Japan In-depth / 2016年12月26日 18時0分
1981年度から2015度の約35年間において、国の税収見積もり額(一般会計の当初予算)とその決算額の誤差は上下に大きく振動しており、実際の税収が見積もりよりも5%以上も減少してしまった年度は10回、1割以上減少した年度は7回も存在する。もし既に景気拡張期が終わりつつある場合、2016年度に続き、2017年度の税収も下振れする可能性があり、社会保障改革を含む財政再建の手綱を緩めてはならない。
なお、政府は2015年6月末、新たな財政再建計画を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる骨太方針2015)を閣議決定しており、骨太方針2015では、2020年度までに国と地方を合わせた基礎的財政収支(以下「PB」という)を黒字化する従来の目標のほか、2018年度のPBの赤字幅を対GDPで1%程度にする目安を盛り込んでいる。
また、内閣府は2016年7月の経済財政諮問会議において、「中長期の経済財政に関する試算」(いわゆる中長期試算)の改訂版を公表している。同試算によると、楽観的な高成長(実質GDP成長率が2%程度で推移)の「経済再生ケース」でも、政府が目標する2020年度のPB黒字化は達成できず、約5.5兆円の赤字となることが明らかになっている。
その意味でも、税収の上振れに楽観的な期待を寄せず、政府・与党は2019年10月の消費税率引き上げに向けた環境整備を含め、財政・社会保障の改革を進めることが望まれる。
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