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日本にふさわしい選挙制度とは 世界の選挙制度その5

Japan In-depth / 2017年1月2日 11時0分

話を戻すと、英国において二大政党制が根付く土壌となった単純小選挙区制だが、日本では比例代表制との並立という、単純ではないシステムが採用されたこともあって、小政党に不利だというマイナス面ばかりが目立つ結果を招いている。さらに言うと、わが国は英国の2倍の総人口を有していながら、立法府の議員(英国なら下院議員)の定数が少ない。この結果、英国ほどには選挙区の有権者と議員とが密接になれず、この面でも小選挙区制の利点が制約されてしまうのである。

このように述べると、「まさか、議員定数を増やせ、などと言い出すつもりではあるまいな」などと追及を受けそうだ。私はそこまで言うつもりはない。ただ、民主主義のコストという考え方もあるので、議員定数削減だけが政治改革の早道とは考えないだけである

そこで、参議院については定数を大きく削り、かつ比例代表制のみにしてはどうだろうか。一院制と二院制の利害得失も、単純な比較はできないのだが、世界的に見ると、英独仏はじめ先進国ほど、形式は様々ながら二院制を指向している国が多い。少数意見をすくい上げて法案をダブルチェックできるという、二院制の長所が評価されているからだろう。

日本の参議院の場合、やや事情が異なっていて、もともと貴族院であったものが、戦後、華族制度が廃止されたことよって、占領政策を担っていたGHQ(連合軍総司令部)は、一院制への移行を考えていた。

しかし日本の法学者達は、二院制による政策チェック機能は大いなる利点がある、と力説し、参議院として再出発することになった。

その話をひとまず置いても、参院地方区などというものが、いかなる政策チェック機能を果たしているのか、どうしても分からない。昨今、定数削減にともなう「合区」をめぐる議論で、議席を持てない県になるのは耐え難い、といった声が聞かれる程度だ。

ならばいっそのこと、現行の242議席から思い切って150議席くらいにしてしまい、比例代表制で各政党に議席を割り振るというのも、一案ではないだろうか。わが国の財政状況を考えた場合、議員定数削減はもはや避けて通れない道であろう。そうであればこそ、衆参それぞれで定数削減を模索するのではなく、両院をあえて一体と見なし、全体での定数を削減する方が、より現実的な方策ではないだろうか。

同時に、領収書の要らない「政策研究費」とか、議員報酬も体系的に見直す必要がある。政治家だけ「福利厚生」が保証されたまま国民に負担増を求めるなど、とうてい許されることではない。議員定数や議員報酬だけではなく、選挙制度や議会システムの全体について、より多角的な議論を進めて行く必要があるだろう。有権者の成熟を促すためにも。

(その1、その2、その3、その4、も合わせてお読み下さい。)

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