【大予測:政治】憲法改正準備、着々と進行
Japan In-depth / 2017年1月2日 23時0分
前者ではおもに自民党の2000年代以後の情報発信手法と戦略、その発展の経緯を論じたが、後者で取材を通して明らかにしたように、情報発信と広報広聴に積極的なのは主要5政党に共通している。オウンドメディアの開発や党内イントラネットの活用、市民団体との協働など各政党でさまざまなアプローチの開発が進められている。
関連して、日本におけるpost truth politicsに関する重要な論点として、本質的に重要な論点を「争点化させない」手法についても考えておく必要がある。とくに『メディアと自民党』でも紹介したような原発再稼働問題の争点化を回避した手法などは改めて注目しておきたい。憲法改正問題においても、争点化を回避するアプローチとして十分応用可能に思われるからだ。
あまり知られていないが、憲法改正の国民投票法が規定する投票運動は、公職選挙法が定める一般の選挙運動とは異なり、アメリカの大統領選挙のようにかなり自由度の高いものになっている。憲法改正発議が行われた暁に直面するのは、一見似たようなものであったとしてもその本質は我々が普段見知った選挙運動とは異なるものなのだ。国内で参考にできる事例といえば、大阪都構想をめぐる住民投票がこれにあたる。当時と同等か、それ以上の分断とメディア状況に我々は直面するかもしれない。それか争点回避手法によって、まったく憲法改正に関する議論が生活者に浸透しないこともありうるだろう。
もっとも懸念され、しかし日本的な状況にも思えるのは、生活者がよく理解しないまま、なんとなく曖昧模糊とした雰囲気のままに憲法改正が進み、ますます生活者と憲法の距離が遠くなることだ。護憲派も憲法改正発議が否定された暁には、改めて現行の日本国憲法の価値が選択されたともいえるわけだから、これまでのやや教条的で形式的な議論のみならず、より踏み込み議論を活発化することにこそ期待したい。
むろん、遠くないうちに行われる次の衆院選の結果で改憲派の議席が3分の2を割り込むようであれば、この問題の直近の重要性は減少する。だが、いずれにせよ中長期において我々の社会における生活者と憲法の距離の遠さや、それを支える政治教育のあり方の再考は避けては通れない。そうであるならば、量的には憲法改正発議の土壌が整ったいま、改めてこの問題を直視するよいタイミングであるといえるのではないか。
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