新年読後感、「進化論」と「リーダー論」
Japan In-depth / 2017年1月3日 15時22分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
今年から読んだ本をブログに書いていくことにしました。一冊めはこれです。
The FUTURE is WILD
人類が死滅したという前提で2億年の間に生物がどう変化するかというのを専門家とともに妄想した本です。
鳥類が全滅して、代わりに魚類が空中を支配していたり、跳ぶカタツムリがいたりと、びっくりすることばかりですが、よく考えてみたら今の多様性が自然選択によって生まれたと考えるとありえない話でもないなあと思いました。
進化論の話で僕が好きなのは、生存戦略が、個体の生存ではなく、種全体としての生存に有利なことを考えさせられるからです。今でもアリなんかは女王蟻から生まれる子供のために働きアリはせっせとは働くわけですが、自分と同じ遺伝子を共有する種がつながっていくならばそれで問題ないわけです。滅びや、生存の概念が人間が言うよりも少し大きいように感じます。
例えば個人や組織が死んでも、結果として種が生き残る(人間社会の場合は遺伝子ではなく文化的遺伝子memeで考えるべきなのかもしれませんが)戦い方は、組織や個人を生き残らせるやり方とだいぶ違うように感じます。
本当に魚が空を飛ぶようになるのかなんてのは誰にもわかりませんが、今の環境に適応しきった種が死に絶え、余白を残していた種が再適応し生き残るというシナリオには考えさせられました。スポーツでは早すぎる適応と言いますが、ある状況に適応しきると、次の環境変化には適応できなくて結果として競技人生トータルでは負ける可能性があるという話です。余白は大事ですね。
興味のある人は読んでみてください。イラストがあって楽しいです。
Whyから始めよ!
Whyから始めよ、読了。
ビジョナリーカンパニーに近いんですかね。要約すると、なぜ社会を動かすリーダーは人をインスパイアして、人が自ら動こうと思うのか。それは“なぜそれをやるのか”から言動や行動がスタートしているからという話です。自分のこれまでの行動を振り返って、反省しながら読みました。
よく東洋と西洋のスポーツ指導の話で、型文化というものが引き合いに出されますが、これはシンプルに言うと、頭を下げていればいずれ感謝の気持ちがわくという話と、感謝をしなさいそうすれば自然と頭がさがるでしょうという違いと言えると思います。行動すればいつか理解できると、理解しなさいそうすれば行動するでしょうの違いとも言えます。
まずなぜやるのかを考え、そして行動するというのは西洋的なのかもしれませんが(時期的なものもあるかもしれませんが、かなりジョブズを引き合いにだしています)、型文化は意味を求めずひたすらにやる方向に行きがちなので、そもそも何のために自分や組織は存在するのかを都度考えることは大事だなあと思いました。
参考になったのはwhyを突き詰める人は、ビジョナリーではあるが実務家ではない可能性があるという話です。その場合はHowをやれる人、つまりどうやればそれが実現できるのかを考える人をちゃんとパートナーに選びなさいという話が書いてありました。やはり一人では物事を成し遂げられないですね。
北風と太陽の話で、太陽に共感する人は、楽しめると思います。
(為末大 HPより/「Future is wild」「 Whyから始めよ」)
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