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安倍総理、経済界に賃上げ再要請 

Japan In-depth / 2017年1月5日 22時16分

安倍総理、経済界に賃上げ再要請 

安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

「編集長の眼」

「力強い経済があってこそ政治は安定する。過去3年今世紀に入って最高水準の賃上げを続けて頂いた。今年も是非、昨年並みの水準の賃上げをお願いしたい。(一同笑)物価の上昇に後れをとらないような賃上げがあってこそ、しっかりデフレを脱却し経済を力強く成長させていく道に進んでいくことが出来る。」

安倍首相は新年5日午後、東京港区のホテルで開かれた経済三団体(経団連、経済同友会、日本商工会議所)の賀詞交換会にてこう挨拶し、経済界に賃上げを去年に続き要請した。

安倍首相は続けて、「下請け等の取引条件が改善していくよう指導力を発揮していただきたい。給料が上がって行けば家族を持つことが出来る。将来への希望を持つことが出来るし、また働く意欲も高まる。そのことに正規も非正規も変わりない。今年は働き方改革断行の年だ。正規労働者と非正規労働者の不合理な待遇差は認めない。昨年末ガイドラインを示したが、これに裁判での強制力を持たせるよう法改正案を国会に提出する予定だ。子育てや介護、無理なく両立できるようにする。時間外労働の上限規制を実施する、労働基準法の改正案を国会に提出する。」と述べた。

さらに、「先頭に立って働き方の文化を変えていただきたいと強く期待している。去年より今年、今年より来年、来年よりも再来年がきっとよくなっていく。みんながこう思えるような日本を作っていきたい。昭和30年代、日々日本が良くなるのを感じていた。生活の水準は今よりはるかに低かったが、日々よくなっていく、これはいつも気持ちをわくわくさせる。今年も是非みなさんとわくわくするように日本を作っていきたい。」と締めくくった。

まず、「賃上げ要請」だが、そもそも政府が民間企業に賃上げを要請すること自体が間違っている。企業が賃上げするのは景気が上向き、業績が上がって利益が増加した場合に限られるのが常識だ。政府の役割は景気回復のための政策の実行であり、賃上げ要請ではない。実際、パーティーに参加している複数の経営者からは「今年こそ規制緩和など成長戦略をやってもらいたい」と声が相次いだ。安倍首相は経済の安定が政治の安定につながる、と言ったが、経済安定こそ政治の役割である、と申し上げたい。金融政策、財政政策に過度に依存したアベノミクスの効果が剥落しつつある中、最後に残された「成長戦略」の実施が急務である。

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