【大予測:資本主義】国家に企業が従う統制経済復活 その1
Japan In-depth / 2017年1月8日 18時0分
こうしたなか、トランプ次期大統領の口先攻撃を受けてもいない企業が、海外移転した海外工場を米国に戻す、メキシコ生産を諦めるなどの対応を自主的に取り始めた。電動工具大手ブラック・アンド・デッカーのジェームズ・ロリー最高経営責任者(CEO)は、「中国やメキシコとの貿易が不確実な今、工場を米国に戻すことがビジネス上の賢明な判断だ」と述べ、恭順の意を表明。
さらに、メキシコで自動車向け機能性樹脂の工場新設を検討中の旭化成の小堀秀毅社長も、「場合によっては米国内の拠点拡大がいいかもしれない」と語り、自動車向けモーターをメキシコで生産する日本電産の永守重信会長兼社長も、「メキシコからの輸出がだめなら、米国工場に生産移管の可能性もある。トランプさんが一番好きな国から持っていけばいい」と柔軟な態度を示した。
一連の動きを評し、米リベラル系メディア『アトランティック』は、「トランプ氏が以前ボス役をやっていたリアリティ番組そのものだ」と揶揄するが、水面下で進行する重大な米資本主義の歴史的変動を見逃している。それは、「国家が企業や投資家の利潤追求のプロセスに介入し、ルールを恣意的にねじ曲げる」という、資本主義総本山の従来のドグマが根底から否定される「宗教改革」だ。
米国内の雇用を守れと叫ぶ「国民情緒」という超法規が次期大統領の政策の根幹となっており、それはおよそ資本主義と呼べる代物ではない。しかし、そうした逆説的手法でトランプ氏は「資本主義という宗教」を守ろうとしているのだ。
(その2に続く。全4回。毎日18時配信予定)
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