仏、遂に“尻たたき”禁止令
Japan In-depth / 2017年1月12日 7時15分
この祖母が子供を育てた時代には、フランスでは子供に激しい体罰をするのは普通のことであったため、そんな環境で育った子供が大きくなり、また同じことを繰り返している。だからこそ、この循環を断ち切るために、強制的に体罰の習慣をやめなくてはならないのです。そのために、法律と言う基準で明確に禁止する必要があるのです。
そこでヨーロッパでは、1979年に世界で初めてスウェーデンが法律化を決めました。そしてスウェーデンから37年遅れながらも、フランスもとうとう禁止明記に至ったのです。
ここで気になるのは日本ですが。日本には家庭における体罰を禁止する法律はありません。なぜなら、基本的に子供への接し方がヨーロッパとは大きく違っていたからです。
日本は、当時訪れた数々の外国人が書き残した文献からもわかるように、体罰によって教育すべしとは考えていませんでした。家庭でのお灸をすえるなどの多少のおしおきはあったものの、その頻度は少なく、学校においての体罰禁止の法律は1879(明治12)年の教育令という早い時期に出されています。体罰は絶対悪として、全てを禁止して明確に「犯罪」として処理されてきたのです。
しかしながら、その後、海外思想が流入し海軍でイギリス式教育方法である体罰が取り入れられたり、戦後は大きく変わってきました。核家族化で育児を教えてくれる人が近くに居なかったり、離婚が増えてお金に追われながら限られた時間しか子供と接することができなくなったりと、子供を取り巻く環境も大きく変わり、一部の人の意識が変わっていったことは否めません。1980年代には、学校での体罰が問題化。そんな時代を経てようやく近年落ち着いてきたものの、その時代の変化の中で、何か日本人は子育ての根本を見失ってしまったようにも思えます。その結果、しつけとして許容される範囲や境界線があいまいになってきたのではないでしょうか?
実際、去年起こった「北海道のしつけによる男児置き去り事件」後には、SNSでは、家庭内のしつけはどの範囲まで許容されるのかという問いであふれていました。またその後も「あくまでしつけだった」と2歳長男を収納ケースに閉じ込め死なせた事件などがあり、どこまでがしつけか?どこからが虐待の境界線になるのか?と問う人も増えたのです。
体罰を積極的に行ってきたフランスやその他の体罰禁止の法律を定めた24カ国(注3)とは出発点が異なり、日本には体罰に否定的な風潮があったからこそハッキリと書かれた法律がなくても今まではやってきていましたが、現在のように人々の中の共通するしつけの基準があいまいになった状況を見ると、日本も明確に体罰内容を細かく禁止する法律を設ける時期に来たのではないかとも考えさせられます。
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