左翼も右翼も仏生まれ しぶとい欧州の左翼 その1
Japan In-depth / 2017年1月14日 18時0分
そもそも左翼・右翼の語源は、フランス革命期の1789年に招集された国民議会において、議長席から見て左側に、王権をアンシャン・レジーム(旧体制・時代遅れ)と見なしてその打破を目指す急進派が陣取り、右側には王党派を中心とする、当時の体制を守ろうと考える人たちが陣取ったことに由来する。
保守と右翼がしばしば混同される事情も、これでお分かりであろう。
この当時、身分制度だけではなく、経済的な格差も一掃せねば真に平等な社会は作れない、とする社会主義思想は、すでに登場していた。
カール・マルクスが『共産党宣言』を世に問うたのは、半世紀あまり後、1848年のことであるが、再度「そもそも論」から語らせていただくと、いわゆるマルクス主義とは、ドイツの無神論哲学、フランスの社会主義思想、英国の経済学を融合させて練り上げられたものだと言われる。
とどのつまり、マルクス主義は左翼の「鬼っ子」と言うべき存在だったのだが、前述のように20世紀にもっとも大きな影響をもたらした思想であったがゆえに、左翼とマルクス主義者が同一視されるまでになったと考えてよい。
フランス革命期に話を戻すと、もっとも急進的な社会主義者の一派は、敵対する王党派を地に染めよ、との意味を込めて真っ赤な旗を掲げた。左翼と言えば赤旗というイメージ、そこに由来する「アカ」という日本語の悪口も、起源はここに求められるのだ。
ご承知のようにフランス革命は、マルクス主義も含めてヨーロッパの思想界に大きな影響を与えてきた。そしてヨーロッパの左翼は、冷戦が終結し、新自由主義と排外主義が天下を取ったかに見える現在の世界においても、まだまだ命脈を保っている。なぜそうなのか、今後どうなって行くのかを考えてみたい。
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