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金正男暗殺、「アイシャ」とは何者?

Japan In-depth / 2017年2月27日 23時0分

ベトナム大使館関係者との面会でフォン容疑者もアイシャ容疑者と同じように「コメディのようなビデオ出演だと思っていた」と殺害の意図がなく騙された結果であることを強調したという。

■対北朝鮮の今後を見据えるマレーシア

マレーシア政府は当初、2人の女性実行犯容疑者とインドネシア、ベトナム大使館関係者の面会を強く拒否していた。フィリピンで開催中の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相による会議に出席していたインドネシア、ベトナムの両外相がマレーシアのアニファ外相に対して国際法上の権利として認められている「容疑者への領事の面接」を要請した。しかしアニファ外相は「国内法では捜査中の容疑者には捜査関係者しか面会できない」として拒絶していたのだ。

それが2月25日になって急に両容疑者と両国大使館関係者の面会がマレーシア当局によって許可された。こうしたマレーシア政府の姿勢変化の背景には、今後予想される北朝鮮との間で

①北朝鮮に帰国したとされる容疑者の身柄引き渡し交渉

②事件への北朝鮮大使館員の関与

③暗殺に使用されたとされるVXガスに関する捜査

④金正男氏の検視、遺体引き渡し

などの駆け引きの場面で北朝鮮に対し「国際法の順守、優先」を求める場合を考慮に入れた結果とみられている。

■インドネシア大統領も支援を表明

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は2月23日、アイシャ容疑者について「私たちは常に(アイシャ容疑者に)寄り添っている」と述べてインドネシア国民として可能な限りの支援を惜しまない姿勢を示した。

2月17日にユスフ・カラ副大統領が「アイシャ容疑者はある意味国際的陰謀の犠牲者だ」と発言し、国民のアイシャ容疑者への同情論を一気に高めたような不用意な発言はジョコ大統領のコメントには一切なく、弁護士や通訳の派遣、大使館員の面会などを通じて行うあくまで「可能な限りの自国民の保護」を表明するに止まった。こうしたジョコ大統領の発言は、カラ副大統領の同情論に一定の歯止めをかける役割を果たし、国民に冷静さを呼びかける狙いもあったとみられている。

 ■対北朝鮮で共同歩調目指す

インドネシアの民放「ブリタ・サトゥ」は2月23日朝の特別番組「アイシャは犠牲者か工作員か」の中でこれまでの事実関係、情報を専門家の分析を交えながら伝えた。そして番組後半では視聴者からの「犠牲者である」「結果として工作員の役割を果たした」「知らなかったとはいえ、人を殺害したことは事実」などのアイシャ容疑者に対する様々な意見を放映した。

このようにインドネシア現地での報道姿勢が微妙に変化してきた背景には、今回の暗殺事件を通して北朝鮮という国の「極めて恐ろしい実態」をマレーシア政府、捜査当局が改めて浮き彫りにし、その犯罪行為を白日の下に晒そうとしている努力への配慮があるという。

「インドネシアとしてもマレーシアと対北朝鮮で共同歩調をとる狙いがあるのではないか。それにはアイシャ容疑者を犠牲者だ、救えと一方的に同情するより、捜査、司法の判断の行方を見極めることが懸命と判断したのだろう」(インドネシア現地紙記者)との見方が有力だ。

果たしてアイシャ容疑者とは「一体何者なのか」その答えはまだ見つかっていない。

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