「圧倒的に勝つ」アイスホッケー女子日本代表発進その2
Japan In-depth / 2017年3月9日 15時0分
女子のアイスホッケーを見守り続けて来たオールドファンなら誰でも、最終決戦のアリーナでも、BS放送で生中継されていた茶の前のテレビにかぶりついて、こう叫んでいた。かつてのチームメイトだった鈴木あゆみ(旧姓佐藤)の青森県八戸市実家でもご多聞に漏れず、「カミさんが、ずっと二本柳!!と叫んどります」と、父親の泰哉。
二本柳とは、小野の旧姓だ。元日本代表の小野豊と結婚して、地元北海道に戻った。
「今でも、思い出すと眠れなくなるほど、悔しいシーンがあるのです」
試合後、紅潮した頬そのままでベテランは切り出した。
ソルトレイクシティ五輪予選に次いで出場した、2004年トリノ五輪最終予選でのことだった。熱戦はロシア・モスクワ郊外のポドリスクで繰り広げられていた。日本代表は、最終ロシア戦を戦っていて、引き分けでも五輪出場が決まるという局面だった。
第3P、五輪へのあと1点を取るための、絶好のシュートチャンスだった。DF近藤陽子から出されたパスは、あまりにどんぴしゃにゴール前にいた小野目がげて入って来た。ブレード(スティックの先のパックを扱う横長の部分)をすっと合わせて角度をつけてやるだけ。
「入れるんだ!」
ワンタッチで、ゴールを目がけて流してやったシュートは、ゴールポスト脇ほんの数センチのところを、外れていった。そのパックの動きが、まるでスローモーションのように見えた。
「まさか」
掴みかけていた五輪出場の夢は、その手中からこぼれていった。
その後3たび目、代表としてバンクーバー五輪予選に挑んだが、今度はあと1勝が遠く、最終戦中国に敗れて代表から身を引いた。
コクドレディース、SEIBUプリンセスラビッツを経て、夫がコーチを務める北海道清水町のクラブチーム・フルタイムシステム御影グレッズで、監督に請われて若手に教えながらプレーを続けていた。代表という第一線から退き、指導が中心だったはずなのに、日々感じていることがあった。
「あれ?ワタシ、ホッケーが上手くなっている!!」
(文中敬称略)その3へつづく、その1
トップ画像:オーストリア戦で、貴重な追加点をあげた小野のシュートシーン(出典 公益財団法人苫小牧市体育協会提供)
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