1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

英国王室にささやかれる疑惑 暗殺の世界史入門その5

Japan In-depth / 2017年3月20日 11時0分

念のためお断りしておくが、この暗殺事件に王室が関与したのではないか、というのは、あくまでも噂の域を出ない話である。王室と対立関係にあったことや、後継の首相に王室に近い上級貴族(リヴァプール伯ジェンキンソン)が就任したことなどが、噂の根拠となった。

もうひとつは、日本の読者にも未だ記憶に新しいであろう、ダイアナ元皇太子妃の事故死である。1997年8月31日、当時すでに婚約していた(と死後に公表された)エジプト人の富豪ドディ・ファイド氏とともに、パリのリッツホテルを出たダイアナ元妃が、市内のトンネルで事故死した。

スキャンダル写真を狙って車を追尾してきた、パパラッチを振り切ろうとした運転手がハンドル操作を誤ったものと見られるが、これも当初から暗殺説が囁かれた。

当時すでにイスラム過激派が脅威となっており、ドディ・ファイドなる人物の子供をダイアナ元妃が産んだような場合、英国の王位継承権者である二人の王子に「ムスリムの血を引く異父兄弟姉妹」ができる。

そもそもドディとはムハンマドの愛称であるし、結婚する場合にはダイアナ元妃自身がムスリムに改宗することも充分に考えられた。

そんなことが認められるか、というのが「王室による暗殺説」の根拠だが、私は、それはあり得ない、と断じた。そもそも離婚して王室を去った女性を暗殺する動機など、王室にも英国政府にもない。詳しくは冒頭で紹介した拙著をご参照いただきたい。

ひとつだけ、ここで付け加えるとすれば、そういった噂が絶えない背景には、ダイアナ妃が悲劇的な最期を遂げたのは、チャールズ皇太子はじめ王室の責任だ、と考える英国人が、決して少なくない、という事実がある。

彼女の早すぎる死を悼む気持ちは、私も共有しているが、だからと言って無責任な噂を振りまくのはよくない。事故当日、現場に駆けつけた救急隊員の証言によれば、ダイアナ元妃の最期の言葉は、「Leave me alone (放っておいて)」だったそうである。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください