朴槿恵大統領弾劾の黒幕浮上
Japan In-depth / 2017年3月29日 18時0分
■サムソン側の反撃
しかし、李在鎔副会長が逮捕された直後から洪錫鉉氏は反撃を受けることになる。李副会長逮捕を、サムソン財閥を支配下に置こうとする洪氏一族の陰謀と睨んだからだ。そして洪錫鉉氏は3月18日に急きょ中央日報とJTBCテレビ会長職を辞するに至った。
これは実質解任と言えるものだ。この解任劇は李在鎔副会長逮捕(2月17日)直後の2月28日、サムソングループの社長級をチーム長とする「未来戦略室」が閉鎖された時点で予測されていた。
「未来戦略室」はサムスングループを束ねる司令塔で、そこにいたのはグループ企業の責任者級であった。洪錫鉉氏は一貫してその組織に関与し、オーナー一族中心の経営を支えていた。政界へのロビー活動もここで推進していたという。崔被告側への計430億ウォン(約43億円)に上るとされる贈賄容疑も、この未来戦略室が主導したとみなされている。
李在鎔副会長は、未来戦略室を閉鎖することでオーナー一家中心の経営と共に、サムスン内の洪錫鉉氏の足場も崩し、「辞任」に追いやったのだ。
逮捕された李在鎔副会長の洪家に対する不信は家族関係にまで及んでいる。3月6日と8日には、母親でサムスン美術館「リウム」館長の洪羅喜氏と叔母で副館長の洪ラヨン氏が電撃的に相次いで辞任(解任)している。
この一連の人事は、自身を逮捕に至らしめた洪氏一族に対する李在鎔副会長の反撃の一環だと言われている。李在鎔氏と母親との葛藤は2014年から噂されており、それは今回、洪羅喜氏が息子の李在鎔氏に面会に行ったのが逮捕されてから1カ月後の3月16日だったことからその信ぴょう性を高めている。
しかし、サムソン電子側はこうした観測を全面否定している。
■孫石熙氏、信用失墜も
洪錫鉉氏の辞任によって苦しい立場に立たされているのがその「走狗」の役割を果たし、「ろうそくデモ」に火を付けた孫石熙(ソン・ソッキ)氏だ。JTBCの孫石熙氏が政治的陰謀のために「ねつ造報道」まで行ったのではとの疑惑が拡散している。そればかりか報道した「崔順実のタブレットPC」に対するねつ造疑惑も依然として根強い。
もしも洪錫鉉氏が大統領選挙に打って出るか、もしくは次期大統領のキングメーカーの役割を果たすことにでもなれば、「崔順実ゲート」報道を終始リードしてきた孫石熙(ソン・ソッキ)氏自身の公平性にも大きな疑問符がつくことになり、社会的信用を失墜してジャーナリスト生命を絶たれることになるだろうといわれている。この事態の推移いかんによっては、韓国大統領選の政治状況にも大きな変化が起こりうる。
参照記事)2017/1/15付「デマと誤報暴露で韓国世論変化」
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