トランプが北朝鮮を攻撃する日
Japan In-depth / 2017年4月2日 18時9分
政権内では大統領の国家安全保障担当副補佐官K・T・マクファーランド氏が中心となり、軍や政府の関連機関から具体的な対策案を3月上旬までに集めた。軍事手段も含めての多様な提案がいま国家安全保障会議アジア上級部長マシュー・ポッティンガー氏を実務調整役として検討されているという。
この政権内部の動きについてこれまで30年もアメリカ政府内外で朝鮮情勢研究を専門にしてきたジョージワシントン大学のラリー・ニクシュ教授に尋ねてみた。
ニクシュ教授はトランプ政権のアジア部門に近いとはいえ、あくまで外部からの考察の結果だと前置きして、以下の要点を明らかにした。
・トランプ政権は北朝鮮の核武装とICBMの開発阻止のため、なお優先政策としては中国に北朝鮮への石油輸出の全面停止など決定的な経済制裁を実施するよう最大の圧力をかけることを目指している。
・そのためトランプ政権は当面の対中関係では北朝鮮問題が最優先課題だとみなし、中国が決定的な対北制裁を実行すれば、他の領域である程度の対中譲歩をしてもよいという構えがある。
・ただトランプ政権は軍事攻撃案もかつてない真剣さで詰めており、最も現実的な方法は北朝鮮の北西部の弾道ミサイル発射基地などへのミサイルあるいは有人無人の航空機による限定的な爆撃案とみている。
・核施設への直接攻撃は核弾頭や核燃料の再処理・濃縮の施設の位置が確認できず、山岳部の深い地下にあるとみられるため、効果が期待できず、優先されていない。
ニクシュ氏がさらに指摘したのはトランプ政権が米側の軍事攻撃が必ずしも全面戦争にはつながらないという認識を強め始めたようだという点だった。
これまでの軍事案はすべて北朝鮮の全面反撃で韓国側にあまりに重大な被害が出るとの見通しで排除されてきた。だがトランプ政権下では拠点攻撃への北側の全面反撃を抑止できるという見方が広まったというのだ。
日本の反応の鈍さが改めて心配になる。朝鮮有事という日本の命運を左右する重大事態の危機がすぐそこまでひたひたと迫っているのだ。
だがわが国会は森友事件などというおよそ日本の命運には影響のない案件に没頭している。危機が迫ると自分の頭を砂に突っ込むダチョウを連想するのは私だけだろうか。
トップ画像:THAAD(高高度防衛ミサイル)発射実験(2015年11月11日)出典 ©米・ミサイル防衛庁
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプ再選で日本は「5つの悪夢」に襲われる 前回よりも思い通りにしやすくなる可能性も
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 14時30分
-
露朝、軍事協力が加速「北朝鮮がウクライナに派兵」の情報、見返りはミサイル精密誘導技術か 日本は3方面と対峙することに
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月16日 6時30分
-
「トランプ陣営の世界戦略がさらに明るみに」その5(最終回)日本との同盟を超重視
Japan In-depth / 2024年6月28日 19時0分
-
「トランプ陣営の世界戦略がさらに明るみに」その4 中国とはディカップリングも
Japan In-depth / 2024年6月27日 19時0分
-
イランの核武装への兆候か? イスラエルとの初交戦と大統領墜落死が示すもの
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月27日 12時40分
ランキング
-
1米国初の女性・アジア系大統領を目指すハリス氏、手腕には厳しい評価も
産経ニュース / 2024年7月22日 19時11分
-
2バイデン氏の撤退決断、米主要紙が評価 「勇気ある選択」「米国の最良の利益」
産経ニュース / 2024年7月22日 19時34分
-
3北朝鮮エリートの脱北ラッシュ、なぜ外交官なのか…海外生活で「目覚めた」
KOREA WAVE / 2024年7月22日 16時30分
-
4バイデン氏大統領選からの“撤退表明” トランプ氏「いんちきジョーは最悪の大統領」とSNS投稿
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 11時43分
-
5反捕鯨団体の創設者を拘束 妨害関連で日本引き渡しも
共同通信 / 2024年7月22日 22時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください