「殺人許可証を持つ男」は実在? 暗殺の世界史入門その6
Japan In-depth / 2017年4月8日 0時0分
ちなみに、原作でジェームズ・ボンドが00要員に名を連ねた「功績」とは、大戦中にスパイ活動を行っていた日本の外交官を狙撃したことだとされている。
だいぶ以前に、友人の軍事ジャーナリスト・清谷信一氏から、英国製兵器のカタログを見せてもらったことがあるのだが、「分解してアタッシュケースに収納できる消音ライフル銃」が販売されていることを知り、のけぞった。清谷氏は、「こういうの、ちゃんと商売になるんだよ。商売になれば、そりゃ売るよ」などと笑っていたが、このことから考えると、00(ダブルオー)要員のごとき存在も、フィクションだと一言で斬り捨てるべきではないのかも知れない。
昨年暮れに他界した、キューバのカストロ元議長など、米議会の公聴会で明らかになっているだけでも、8回にわたってCIA(米中央情報局)から命を狙われた。
実際には類似の事件は40回以上起きているとも、もっと多いとも言われているのだが、すべて未遂に終わったのは、CIAの側が、マフィアのヒットマンなど、アマチュアかせいぜいセミプロの手を借りたのに対し、キューバ情報部の方は、旧ソ連の対テロ特殊部隊が訓練した、筋金入りのプロ集団であったからだとされている。旧ソ連には、帝政ロシア以来の要人警護のノウハウが蓄積されていた。
フランコもヒトラーも、結局は暗殺されなかったわけだし、カストロは90歳で単寿を全うしている。アタッシュケースで消音狙撃銃が持ち運べるようになろうとも、暗殺の成功率がさほど高くなっておらず、だからこそ、たまたま成功すると世界中が大騒ぎになるわけだ。
余談だが、今では中東やアフリカの複数の国では、北朝鮮が要人警護のノウハウを当地の警察などに伝授しており、外貨獲得の手段となっているらしい。そうしたノウハウがあったからこそ、金正男暗殺を衆人環視の中で暗殺するという挙に出られたとも考えられるが、だとすれば皮肉な話である。
-
-
- 1
- 2
-
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ヘンリー王子とメーガン妃にトランプ氏暗殺未遂事件の余波が及ぶ危険性も=王室専門家が指摘
東スポWEB / 2024年7月22日 18時45分
-
トランプ氏暗殺未遂事件を予言した?『Mr.President!』をプレイしながら「シークレットサービスとアメリカ史」を振り返る
Game*Spark / 2024年7月21日 13時0分
-
なぜ犯人はトランプ氏の耳を撃てたのか…「地元育ち」の「一匹狼」は暗殺を実行しやすいという新型テロの特徴
プレジデントオンライン / 2024年7月20日 7時15分
-
「トランプ氏銃撃」日本で起きた時の最悪シナリオ 日米の「要人警護」の違いから事件を読み解く
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時10分
-
「トランプ氏銃撃」国際ボディーガードによる考察 鉄壁だったはずの警護になぜ隙ができたのか?
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 14時30分
ランキング
-
1米国初の女性・アジア系大統領を目指すハリス氏、手腕には厳しい評価も
産経ニュース / 2024年7月22日 19時11分
-
2バイデン氏の撤退決断、米主要紙が評価 「勇気ある選択」「米国の最良の利益」
産経ニュース / 2024年7月22日 19時34分
-
3バングラ学生デモの逮捕者500人超に 死者163人に 警察発表
AFPBB News / 2024年7月22日 20時38分
-
4北朝鮮エリートの脱北ラッシュ、なぜ外交官なのか…海外生活で「目覚めた」
KOREA WAVE / 2024年7月22日 16時30分
-
5国際協調路線のバイデン外交は「限界」露呈…ウクライナ侵略・ガザ紛争終結メドつけられず、米国内の分断も深まる
読売新聞 / 2024年7月23日 7時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)