金正恩、揺らぐ国内指導体制
Japan In-depth / 2017年4月10日 11時0分
「細川珠生のモーニングトーク」2017年4月1日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(大川聖)
【まとめ】
・金正男殺害事件、北朝鮮の粘り勝ち。
・金正恩の指導体制は不安定。
・韓国、野党政権誕生で内政混乱する可能性大。
■金正男氏遺体帰国、北朝鮮作戦勝ち
朝鮮半島は現在非常に不安定な状態にある。北朝鮮では金正男氏が殺害されたり、ミサイル発射が頻繁に行われたりしている。韓国では朴槿恵氏が逮捕される事態になった。今、朝鮮半島で何が起きているのか、政治ジャーナリストの細川氏が、朝鮮半島情勢に詳しい早稲田大学名誉教授重村智計氏に話を聞いた。
「マレーシアで殺害された金正男氏の遺体と北朝鮮の外交官が北朝鮮に帰国し、マレーシアの外交官ら平壌で足止めされていた人たちも帰国するという取引が行われたようだが、その背景はどうなっているか。」との細川氏の問いに対し、重村氏は「一言でいえば、北朝鮮の作戦が成功したといえる。」と述べた。
「はじめ北朝鮮側が平壌にいるマレーシアの外交官の出国を停止したのは、クアラルンプールの大使館にかくまっている(金正男氏殺害に関わった)犯人を(マレーシア当局に)捕まえさせないようにするためだった。又、もともとマレーシア側は(金正男氏の)遺体をマカオにいた家族に引き渡そうとしていたが、最終的に北朝鮮が持って帰ることが出来た。北朝鮮が家族のパスポートの期限を切った可能性がある。」と北朝鮮側の狙いを分析した。
その背景について、「(家族は)韓国政府がオランダの協力を頼み、身分保障してもらって中国からオランダ経由でアメリカに渡ったのではないかとみられている。しかし、アメリカから出国してマレーシアに行く段階で、パスポートがないので行けない、となり、そこを北朝鮮がうまくついた。」と述べ、北朝鮮側が遺体を引き取る為の交渉を有利に進めたとの考えを示した。
遺体の状態についても「遺体を引き取らせると証拠がなくなる。北朝鮮側は(金正男氏の暗殺は)なかった、陰謀だと言いだすので韓国とアメリカはマレーシアに遺体ではなく遺骨・灰で渡してほしいと交渉したが、結局北朝鮮側が応じず遺体をそのまま返したようだ」と述べた。
■不安定な金正恩の指導体制
細川氏が「北朝鮮がアメリカ・韓国に強硬姿勢を打ち出している意図は何か。」と質問したのに対して重村氏は、「強硬に見えるが、実際は、北朝鮮の事情は不安定である。金正恩は自分を立派な指導者だとみせるためにミサイルを打ち上げた。父金正日氏の時代は先軍政治だったが、金正恩氏は核とミサイルに集中する政策に変えた。それが成功していることを示さねばならない。今まで比較的豊かだった軍にお金が回らなくなり、不満がたまっているのでそれを抑える必要がある。ということは金正恩氏の指導体制が安定していないということだ。」と述べ、一連の北朝鮮の行動は対外的な影響力を増すことよりも、政権基盤の安定を図るためのものであるとの考えを示した。
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