緊迫「トランプ政権vs中露」
Japan In-depth / 2017年4月13日 21時9分
米国務長官はこの後、11~12日にロシアを訪問する。一時はトランプ政権との蜜月も噂されたプーチン政権だが、シリアの化学兵器使用後、対米関係は冷戦終了後最悪の状態に陥っている。露大統領と近いと言われる米国務長官はこうした状況をどう立て直すのか。要注目であろう。
〇東アジア・大洋州
10~14日に中国の北朝鮮核問題特使が韓国を訪問し、北の核計画とTHAAD問題を議論するという。11日は北朝鮮の最高人民会議が開かれる。米海軍の空母打撃群は南シナ海から北上し北朝鮮に向かう。米国の典型的な「show of force」政策復活か。それともトランプ氏の衝動的気紛れか。北は必ず何かやるだろう。
15~25日に米副大統領が韓国、日本、インドネシア、豪州を訪問した後、ハワイに立ち寄るそうだ。ペンス副大統領は知日派だそうだが、アジアをもっと良く知ってもらった方が良い。これからトランプ氏に何が起こるか分からないだけに、この種の副大統領外遊は極めて重要である。
〇中東・アフリカ
米国の大統領がレッドラインを越えたと言ったら、強制行動を行う必要がある。それをしなければ、米国はもはや大国ではなくなるからだ。その意味でシリアの「化学兵器使用にトマホーク59発」は米国内では概ね高く評価されている。今見ているCNNではこの攻撃の合法性に関する議論が続いている。
驚くのは、米国の弁護士や元検察官が合衆国憲法の解釈や連邦議会の宣戦布告権限の話を、あーでもない、こーでもないと議論するのだが、誰一人として国連憲章や国際法の話はしないことだ。こんな基本的な議論が完全に抜けているのに、誰もそのことを指摘しない。これが米国の真髄なのだろうか。
〇南北アメリカ
対シリア攻撃決定の際、バノン首席戦略官は反対したという。彼はNSCの常任メンバーから外れ、影響力が低下したと報じられた。他方、トランプ氏は今回の攻撃に賛成した娘婿のクシュナーとバノンに対し、仲直りを命じたともいわれる。
筆者の見立ては、トランプが引き続き選挙モードと統治モードの間を「行ったり来たりする」というものだ。そうであれば、今回はNSCが統治モードを強めただけで、トランプ政権全体では、引き続き選挙モードの頭目であるバノン氏を切れないと思う。今後ともホワイトハウスの人事には目が離せない。
〇インド亜大陸
9~12日に豪州の首相がインドを訪問中だ。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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