デパート混迷 伊勢丹社長突然辞任
Japan In-depth / 2017年4月20日 1時19分
■大西社長は一時寵児に・・・
特に12年に三越伊勢丹ホールディングス社長に就任した伊勢丹出身の大西洋社長は、自前の商品開発にこだわり、小型店の積極出店や中国人観光客の急増にも目をつけ、中国カード(銀聯カード)の利用をいち早く可能にしたり、旅行や飲食、婚礼など事業拡大にも積極的に取り組んできた。中でも利益率の高い独自商品を15%まで拡大するなどして売上高を伸ばし13年度は過去最高となる346億円の連結営業利益を上げた。この頃はデパート業界の代表といえば大西社長といった感さえあり、テレビや新聞、雑誌の寵児となったほどだ。
しかし中国爆買いブームが去ると三越・伊勢丹グループもその波に巻き込まれ、営業利益は高島屋グループやJ.フロントリテイリングより大きく落ち込み、その責任を取る形で今年3月末に突然大西社長が辞任した。
今年になって不採算店の閉店や売場面積の縮小、業態転換を図ってきたが、伊勢丹は千葉と東京の二店舗に対し、三越は千葉店、多摩センター店を閉店、松山店、広島店を縮小したり、業態転換を図る方針とされる。リストラは三越の不採算店が中心となり、三越側からの反発が強まっていたともいわれ、一時はデパート業界を引っ張っていた大西氏の花形的振る舞いは4年半で幕を閉じた。大西氏は役員としても残らない。
■ビジネスモデルを見出せない百貨店業界
デパート経営はバブル崩壊後の90年代から苦しくなっており、合併連衡を続けてきたが、結局、本質的なデパート改革論をどこも出せずビジネスモデルを見失っているのが実情のようだ。2016年の百貨店売上高は6兆円を割ってしまい、ピーク時の6割まで減少している。デパートに慣れ親しんできた70代前後の消費者がデパートを見放すようになると前途は深刻だ。その深刻さはすでに地方の中核都市で20-30年前から徐々に表面化していたのである。
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