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ジャワ高速鉄道 中国から日本へ

Japan In-depth / 2017年4月22日 18時0分

2016年には建設予定地とするジャカルタ郊外の土地で中国人労働者が工事を開始したところ、そこがインドネシア空軍の管理地で空軍の許可もなく、さらに中国人労働者のビザに問題があったことが発覚するなど計画そのものだけでなく、建設工事の進め方でも「杜撰さ」が露呈、中国への信頼性が大きく揺らいでいた。

4月15日には建設に要する経費が当初の55億ドルから59億ドルに膨れ上がるとの見通しが示された。もっとも費用をインドネシア側は負担する訳はないが、増大した費用の負担を中国がどうするのかは不安なところ。中国の受注にジョコ・ウィドド大統領を最終決断させるのに大きな役割を果たしたとされるリニ国営企業大臣は「高速化路線に建設予定のトンネル工事で変更が生じた結果の費用増加だが、中国開発銀行が問題ないとしているので心配はない」とマスコミに説明、予定通りに建設計画が進むとの楽観的見方を表明した。

■政府部内の対立・確執が影響

「日本優勢の受注競争を最後にひっくり返した」のはこのリニ大臣といわれ、その背景には日本を推していた与党「闘争民主党(PDIP)」の党首、メガワティ元大統領とリニ大臣の確執、さらにジョコ大統領とメガワティ元大統領との不仲説も影響したといわれている。

内閣改造でリニ大臣の更迭をPDIPが求めたもののジョコ大統領が拒否したとされ、「ジョコ大統領、リニ大臣」と「メガワティ元大統領、PDIP」を巡る構図は基本的に前回の受注時とは変わっていない。

しかし、鉄道関係者や経済界からは中国の「杜撰な計画と進まない建設」が浮き彫りとなる中「鉄道計画という国民生活に直結するインフラ整備に政治は介入するべきだはない」との声がでていることは、ジョコ大統領もリニ大臣も認めざるを得ないところだ。

インドネシア紙の記者は「中国が受注したジャカルタ~バンドン間は鉄道の重要も少なく、距離が短くて高速化のメリットもあまりないことが政府部内に“どうせ(インドネシアの)は費用負担しないのだから中国にやらせてみたら”という雰囲気を醸し出したことも(中国への受注に)影響した」と当時の裏事情を解説する。

いずれにしろ、純粋な技術論やコスト、安全面などが原因で日本が前回の受注競争に敗れた訳ではないことが救いで、インドネシア政府部内や世論が「中国に懲りて、日本に期待している」というアドバンテージを最大限に活かすためにも、日本は次の高速鉄道計画の受注を目指して再度綿密な計画と中国側の奇手への対策を練ることが求められている。

トップ画像:出典 Gunawan Kartapranata/インドネシア高速鉄道計画

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