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トランプ減税案は絵に描いた餅

Japan In-depth / 2017年4月29日 0時9分

必ず税負担が減る企業に比べ、多くの中間層にとって減税どころか、より高い税率グループに入れられる可能性もある。そうなればトランプ支持層の怒りを買うことが予想され、そのためにわざと明示を避けたという見方もある。

より重要なのは、実際に多くの国民にとって減税となったケースでも、税の減収分をどのように手当てするかという根源的な問題だ。税の負担が軽くなった分、国民が財布のひもを緩め、消費が米経済を成長させ、税収が結果的に増えることが政権の目論見だが、現時点では捕らぬ狸の皮算用に過ぎない。税収が増えなければ赤字国債の発行に追い込まれ、「減税しない方がよかった」という結果になりかねない。

 

■大企業優遇か

法人税率が最高15%まで引き下げられ、米国の高い法人税率から「税逃れ」するために米多国籍企業が海外で貯め込んでいた現金の米国還流に対する税率も低くすることで、米企業が国内での設備投資や雇用を増やし、米経済が飛躍的に成長することを政権は狙っている。減税による一般国民の消費増大も大事だが、真に米経済の原動力となるのは企業の設備投資と雇用の拡大だとトランプ大統領は考えている。

だが、バイデン前副大統領のチーフエコノミストであったジャレッド・バーンシュタイン氏は米PBSのニュース番組に出演し、「企業は減税分を設備投資や雇用創出に使うことはあまりなく、金融商品への投資や株主への利益還元に回すだろう」との悲観的な見方を示し、「法人減税は大企業優遇につながる」と述べた。バーンシュタイン氏はさらに、「歴史的に、法人減税は景気浮揚や税収増加につながらない」として、政権の方針に否定的だ。

 

■政権内の権力闘争も

このように、トランプ減税提言は評判がすこぶる悪い。しかし、失政続きのなか、「仕事をやっている」という印象だけでも残したい政権の打ち上げ花火的な効果はあったようだ。

折しも政権内では「隠れリベラル」のコーン国家経済会議委員長の一派が、「過激分子」のバノン首席戦略官の派閥から主導権を奪ったばかりだ。庶民や専門家が求める減税の具体的内容が発表できるようになるには、あと数か月はかかるだろう。

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