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読後感:「その差は自己責任か」

Japan In-depth / 2017年4月29日 16時50分

私の好きな話で、全盲の人と、車椅子の人が二人で出かけるというものがあります。車椅子の人が指示をし、全盲の人が椅子を押す。人間に優劣はないが、状況によって人に有利不利はあるので、それを創意工夫でしのぐことが重要なのではないか。柔らかで寛容な社会とはそういったものではないかと思っています。

ちなみに貧困の連鎖を説明した本でおもしろかったです。今、足りないから将来も足りなくなるということが理解できます。

意識について興味を持っていた時に読んだ本です。この本をきっかけにしてベンジャミンリベットのマインドタイムを読みました。

意識と無意識についてかかれています。初めて認知心理学や、無意識の研究に触れた人はちょっと面食らうかもしれません。それぐらい日常の私たちの感覚とは違う世界がここにあります。

例えば分割脳の患者の例がでてきます。てんかん患者の治療として昔は脳梁を切っていたそうで(なんと!)、そういった患者は右脳と左脳が切り離されます。人間は右視野を左脳で、左視野を右脳で把握しているそうで、右視野に映ったものは左脳で把握できるので言語で答えられるのですが、左視野に映ったものは右脳なので言語では答えられません。ところが自分では言語的に何かが認識されていなくても、目の前にあるカードを何でもいいからとってというと結構な確率(7割程度だった気が)で当たるそうです。本人にわかっているという自覚なくして。

つまり私たちが考えて把握していると思っている世界は、私たち自身のほんの一部でしかなく、無意識で行われていることや、無意識の世界で起きていることは想像以上に私たちを支配しているというのがざっくりとした内容だと思います。私の知らない私が私の中にいて、そしてその私が出した結論や方向性(比喩表現として)が意識の世界の私たちの行動や判断に影響を与えているわけですね。

他にも興味深い実験内容が紹介されていて、読みやすいので是非読んでみてください。ついでに下條先生自身も話すと相当面白いので、講演などありましたら足を運んでみて下さい。

(為末 HPより)

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