トランプ政権高官に黒人女性
Japan In-depth / 2017年5月4日 14時37分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・米国防総省、新報道官に若手黒人女性デーナ・ホワイト氏起用。
・氏はアジア問題専門家。共和党主流派重鎮の補佐官務める。
・中国膨張主義に批判的で、日米同盟堅持の日本通でもある。
トランプ政権下の国防総省は新しい報道官として若手の黒人女性の起用をこのほど発表した。同政権の任命した高官たちにはこれまで黒人が少なかったが、この女性の登用は今後国際的な光を浴びるアメリカ国防総省の顔として注目されることになりそうだ。
しかもこの女性は黒人には珍しく保守主流派のアジア問題専門家で、日米同盟堅持というスタンスも顕著である。
トランプ政権は4月下旬、新任の広報担当の国防長官付き特別補佐官兼報道官として共和党の有力上院議員のジョン・マケイン氏の補佐官などを務めたデーナ・ホワイト氏の任命を発表した。この地位は国防総省では次官補と同格の高官とされる。
ホワイト氏は現在40代前半の黒人女性で、シカゴ大学の国際関係部門で中国歴史を専攻して卒業し、1990年代後半に北京の首都師範大学に留学した。アメリカの中国専門家の間では伝統的に黒人女性がきわめて少なく、当時から注目されていた。
ホワイト氏は政治的にも黒人には珍しい保守主義者で保守派の大手シンクタンクのヘリテージ財団広報担当を経て、当時、連邦議会の下院では共和党側でただ一人の黒人メンバーだったJ・C・ワッツ議員の補佐官となった。
ホワイト氏はその後、上院の共和党重鎮ジョン・マケイン議員の補佐官からブッシュ政権の国防総省に入り、台湾部長を務めた。2008年の大統領選では共和党の指名候補となったマケイン氏の外交問題担当補佐官となった。ホワイト氏はさらに2012年から3年ほどは「ルノー日産アライアンス社」のカルロス・ゴーン社長の英語のスピーチ・ライターをも務めた。
国際関係の政策面でもホワイト氏は中国の膨張主義や人権抑圧に批判的で、台湾とのきずなを重視するという共和党保守派主流の傾向を示してきた。日米同盟の堅持や日米友好の重視の姿勢も明確で、日本をもたびたび訪れ、日本側官民との交流も活発に続けてきた。
共和党でも主流中の主流とみなされるマケイン上院議員にきわめて近い立場にあったホワイト氏のトランプ政権入りは同政権に珍しい黒人女性という出自もあって、今後注視されることが多いといえる。しかも軍事政策を重視するトランプ政権下の国防総省の対外的なスポークスマン役という立場はホワイト氏の存在をさらに目立たせることともなりそうだ。
トップ画像:写真中央:ジム・マティス国防長官 左側:デーナ・ホワイト国防長官付特別補佐官兼報道官 出典)米国防総省HP Photo by Air Force Tech. Sgt. Brigitte N. Brantley
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