1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

試されるマクロン氏 間もなく国民議会選

Japan In-depth / 2017年6月7日 0時0分

■世代は「対立」から「融和」に

マクロン氏は、何度も左派でもなく右派でもない「真の中道」と繰り返してきましたが、この言葉にはたくさんの意味が含まれているのではないでしょうか。例えば、フランスでは世代によって外国人への態度が変わってきていることもその一つ。

日本が「和」を築くことに重点を置いていたのとは反対に、「対立」が意識されてきました。フランスを含むヨーロッパでは歴史的にも常に外からの侵略と戦ってきたこともあり、「外敵に対して対抗したり攻撃する」ことは日常的なことで、外敵とみなせば明確に「対立」を示し攻撃し、自分側とみなす周囲と団結を確認しあいながら身を守る生活を送ってきたのです。そんな環境であったからこそ、まず「対立」からはじまる西洋ディベートが発展してきましたし、右派や左派というきっぱりとした境界線を引いて議論する形がずっと続いてきました。

特に、農村部を中心とした地域では昔通りの生活をしている人も多く、「対立」と言う日常がいまだにかなり見られる地域もあります。こういった地域では「グローバル化への対立」「移民への対立」路線のルペン氏の考えが受け入れやすい傾向にあることも否めません。

しかし、パリなどの都会部に行けばその状況は大きく変わってきます。移民や観光客などの外国人であふれている世界であり、実際に対立していては生活できず共存することが不可欠です。また都会に限らずとも、近年ではフランスの学校ではライシテ教育や市民教育が徹底しているうえ、外国人が身近にいる環境で育ってきていることもあり、若者たちの世代では外国人と「対立」するよりも、「融和」する生活に慣れつつある人も増えていると言えるでしょう。

マクロン氏もそんな「融和」することが日常である時代に生きて来た年代。選挙のスタッフにしても30代~40代が中心。左派対右派の分類はもはや現代政治にそぐわないと大統領選の時にも多くの評論家がそう指摘していたのも、こういった世代の変化からくる感覚の違いを感じていたからではないでしょうか。

しかしながら、内閣も新体制になり左右の境界線などが流動的にはなっているものの、伝統的な分断は現実に今もそこにあることは間違いありません。

■新生フランスが成功するための第一関門は議会選

新生フランスを実現しやすい体制を作るには、議会選で過半数を取ることがかかせません。現時点のアンケートでは、3分の1は取れるとする結果もでていますが、今回の大統領選挙では白票が多かったことが示すように、新大統領の政策に反対する意思を表す国民は従来より多くいます。

6月11、18⽇に行われるフランス国民議会選、それはマクロン政権の最初の関門。今後、新生フランスが成功するか否かを予測するために、大きく注目される分岐点となるのです。



この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください