左か右か ケンブリッジにて考える
Japan In-depth / 2017年6月8日 11時0分
ジジェックの視点から鑑みれば、昨今の「右か左か」と言う議論が滑稽にも思えてくる。と言うのも問題はおそらく、今や右か左かもわからないまま問題を放置し、その両極の違いさえわからなくなってきているからだ。どちらに投票したらいいかわからないけど、ルペンは多文化社会の脅威だからマクロンに投票しよう。こうした投票行動が、問題の本質を変えずに問題を大きくしていくだけだと言うことに、おそらく多くの人々が気づいていないと言う彼の指摘は確かなのかもしれない。
こうした左右軸に、日本 はどのように当てはまるだろう?先日安倍首相が2020年の憲法施行を目指す意思を表明した。戦後平和主義を保ってきた日本。第9条を含めた改憲は、日本だけでなく近隣諸国にも衝撃と緊張を与えるのは目に見えている。日本維新の会の票を得るためだけの無償教育の導入も、昨今の森友学園問題で暴露された異様な教育方針を鑑みれば、恐ろしいことのようにも思える。改憲論を支える明確な理念や原理は、果たして本当に安倍首相の中にあるのだろうか。
ちょうど70年前、GHQの憲法草案に命がけで抵抗した立役者たちは、現政権が憲法第9条を変えたいと言う意思表示を、どう見ているのだろう。自衛隊が合憲か違憲かという二分論に陥り、どこをどのように変えていくことが日本や国際社会にとってベストなのか、と言う明確な議論がないままに進んでいるこの改憲劇を、そらからどのように眺めているのだろう。
私の大好きなラガヴーリンとは比較にならないくらいパンチの効いた当時のウィスキーが、一層身にしみる。
TOP画像:スラボイ・ジジェック氏 photo by Andy Miah
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
仏極右ルペン氏、政権に退陣要求も 生活費高騰に予算対応なしなら
ロイター / 2024年11月21日 10時56分
-
結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 17時20分
-
トランプは「米国は中国に対するパワーを持っている」と…安倍からトランプへの“最高の贈り物”とは
文春オンライン / 2024年11月20日 6時0分
-
日本のGDPを抜いたドイツの「実は厳しい」現実...連立政権は崩壊へ、ショルツ首相が財務相を解任の衝撃
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月7日 19時45分
-
トランプ氏にあんなことができるのは安倍首相だけだった…外務次官が思わず「ダメです」と止めた"仰天の一言"
プレジデントオンライン / 2024年11月5日 8時15分
ランキング
-
1ウクライナ軍が米供与の「ATACMS」でロシア西部を攻撃 ロシア国防省が発表
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 10時12分
-
2イスラエルとレバノンが停戦合意、60日の戦闘停止へ…ネタニヤフ氏「ヒズボラが違反すれば攻撃」
読売新聞 / 2024年11月27日 11時46分
-
3ラオスで“メタノール入り酒”飲んだ外国人観光客6人死亡 宿泊施設オーナーら8人を拘束
日テレNEWS NNN / 2024年11月27日 12時38分
-
4ウクライナ代表団が訪韓、武器支援を要請=報道
ロイター / 2024年11月27日 14時25分
-
5中国国営メディア、米中の関税戦争を警告 トランプ氏関税案巡り
ロイター / 2024年11月27日 13時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください