北ミサイル開発、黒幕は中国
Japan In-depth / 2017年6月24日 8時16分
事実、米軍事専門家は中国版GPSの軍事バージョンを北朝鮮が使えば、ミサイルを正確に標的に命中させられると指摘している。つまり、北朝鮮に制裁を加えているはずの中国が、実は北朝鮮の「核保有国化」を後押ししている疑いがある。
この可能性は地政学的に見ても合理的に説明がつく。南シナ海・台湾・日本を含む西太平洋地域のすべてを中国の支配下に置くという「中国夢」を追求する習近平にとって、中国夢の実現を防ぐべく立ちはだかる米国と日本を消耗させ、脅威を与えられるなら、金正恩が核とミサイルを持つことは大歓迎なのである。中国の長期的な覇権戦略の「パズル」において、核とミサイルで日米を攻撃できる北朝鮮という「ピース」は、極東の地図にピタリとはまるのだ。
この可能性を、逆方向から検証してみよう。米国が在韓米軍への終末高高度防衛(THAAD、サード)ミサイル配備を開始した際、その主標的は北朝鮮が実際に発射する攻撃ミサイルであるにもかかわらず、中国は国を挙げて反発した。韓国への経済ボイコットや政治圧力を繰り出し、さながら敵国のように扱った。
攻撃ではなく、ミサイルが降ってくる最終段階での防御システムなのに極めて過敏に反応したことは、中国が自国のミサイル攻撃能力だけではなく、在韓米軍を攻撃できる北朝鮮のミサイルが無力化されることを極度に恐れていることを示唆している。朝鮮人民軍の米軍攻撃能力が削がれて困るのは、中国人民解放軍なのだ。
韓国の新大統領に就任した文在寅(64)は、6基でシステム運用が可能になるTHAADの残り4基の配備にストップをかけようとしたが、米軍も然る者、すでに文在寅の就任前に全6基の搬入を終えていた。残り4基の配備は、韓国側の敷地提供などのハードルはあるものの、実現すれば北朝鮮の対米軍攻撃能力を削ぎ得る、中国にとっての「重大な脅威」なのである。
このように見ると、人民解放軍と朝鮮人民軍は朝鮮戦争以来、いまだに米軍という共通敵を持つ一蓮托生関係であることがわかる。中朝の仲が悪いというのはミクロレベルでは真実でも、マクロレベルでは日米の目を欺くための世紀の茶番劇に過ぎない。つまり、日米にとっての北朝鮮問題というのは、大筋において北朝鮮そのものではなく、中国問題なのだ。
■お人よしトランプ氏と安倍首相
だが、ドナルド・トランプ米大統領(6月14日で71歳)は、ナイーブにも習近平が北朝鮮に圧力をかけて核やミサイルの開発をやめさせられると信じている。貿易問題などでも大幅譲歩し、為替操作国指定を取りやめるなどのオマケ付きである。
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