象徴天皇制を参考に? 金王朝解体新書その7
Japan In-depth / 2017年7月5日 18時0分
同時に彼は、3代世襲までは考えていなかったのだという。
南北の首脳会談を実現したり、日本の小泉首相と会談して拉致問題で一定の非を認めるなど(その裏で、山ほど嘘を並べたが)、国際社会に復帰したいという思いは、確実にあったのだろう。
3代世襲までは考えていなかった、というのも、父親が敷いた路線を放棄した、との非難を受けることなく、北朝鮮をより現代的な国家に生まれ変わらせるためには、集団指導体制に移行する他はないが、では自分の息子たちはどのような立場になるのかと言えば、なんと日本の象徴天皇制から想を得て、
「わが一族は、チュチェ思想の正当性を象徴する存在として、権威のみ残ればよい」
との構想を描いていたというのである。
読者もよくご存じのように、1980年代後半以降、北朝鮮の経済が完全に破綻したことが明らかとなり、庶民から幹部まで、脱北が相次いだ。
これにより、北朝鮮における独裁政治の内情も,広く知られるようになったのである。
上記のような構想をキム・ジョンイルが持っている、という話も、1990年代の終わり頃には、韓国情報部の知るところとなった。
しかし、報告を受けた時の韓国大統領キム・デジュン(金大中)は、
「そんなことが可能だと、本気で考えているのだろうか」
と、しきりに首をひねっていたという。
そのキム・ジョンイルも、2011年暮れに他界。
後継者問題では最後まで悩んでいたが、相次ぐ幹部の離反もあって、結局は3代世襲を決断せざるを得なかった。
こうして、まだ20代の独裁者が誕生し、自信の権力基盤を強固にすべく、腹違いの兄を暗殺した。
事実は小説よりも奇なり、では済まされない話である。
(本記事は、その1、その2、その3、その4、その5、その6の続き。)
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