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物価目標2%は正しいのか

Japan In-depth / 2017年7月22日 0時8分

しかし個別企業では好調なところが多く、ユニクロのファーストリテイリングの16年9月~17年5月の連結最終決算は前年同期比で売上高3.0%増、利益69.1%増という好調ぶりだ。また外食産業も人手不足でロボット開発や営業時間短縮などで対応しているという。

 

■金融政策だけ突出。国民が求める将来の安心。

要するに景気は決してひどいわけではないのに、物価はさっぱり上がらないのだ。目標の2%に達しないため、金融緩和を続ける一方である。日銀が年間で国債を80兆円買い、市中にカネをばら撒いていたが、量的緩和だけでは効果が上がらないとみるやマイナス金利政策を導入した。銀行が日銀におカネを預ける際に逆におカネを支払うという前代未聞の金融政策に踏み切った。量的緩和だけでなくマイナス金利政策まで動員したのだ。そこまですれば、銀行は日銀に預けるより市中に貸出し、設備投資などに資金がまわり出して景気がよくなり消費も増えると読んだのだ。しかしその思惑も決して成功していない。

 

■物価目標優先の副作用大きい

こうした背景にあるのは、企業や消費者は決して“明日の食べるおカネもない”という切羽詰った状態にあるわけではなく、むしろ先行きの明るい展望に確信がもてないので、とりあえず模様眺めで過ごしているケースが多いようだ。60年代は国民全体が高成長を信じていたので消費者は物を買い、生産者は設備投資を増やし生産に励んでいた。自然に物価が上がる循環ができていたのである。考えてみれば高度成長期の賃上げの考え方は、“物価上昇率プラス生活向上分”が当然とみなされていたほどだ。

しかし現在は、約束されていた消費増税も景気をおかしくするから、と先延ばしとなり財政を悪化させているし、金融の景気刺激効果がないため再び財政で刺激する策へと転じている。まるでマイナス金利と財政悪化への蟻地獄にはまり込んだような雰囲気だ。結局企業は円安で利益をあげ、その利益を海外企業の買収に使っているが、大きな失敗も目立っている。

日本はいま国、企業、消費者とも負のスパイラルの心理に入り込んでいる状況なのではないか。少子高齢化や巨額の財政赤字、一極集中(国レベルでは首都圏、地方では県庁所在地)、社会保障などの国民による負担増等々――明るい将来がみえてこない。となると多くの国民は先行き不安に備えてなるべくおカネを使わず節約、節約のムードが伝染している。一部の富裕層だけは、消費を楽しめても多くの国民は“みんな我慢しているのだから・・・”と多額消費には走らないのだ。

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