成長する企業は人材流動性が低い
Japan In-depth / 2017年7月24日 23時39分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
【まとめ】
・「圧倒的成長」を標ぼうしている企業は日本に多い。
・成長を促す理由は、メンバーの“流動性の低さ”。日本の文化でもある。
・人材流動性が高まってくるとこの文化に変化が訪れるかも。
圧倒的成長ということを文化にしている会社は日本に多い気がします。海外でもあるのかもしれませんが、私の知る限りこういった言葉を標語にかかげている会社を見かけません。中国や韓国にはありそうですが。just do itというマッチョな表現をしているナイキですら、本社を訪ねた時に社員は昼休みにサッカーをしたり、夕方同僚とランニングをして楽しんでいて、成長をしているのかもしれませんが少なくとも時間の上では余裕がありそうでした。
私なりに解釈したところ、成長を促す一番の理由はメンバーの流動性の低さではないかと思います。スポーツにおいてはプロよりも、アマチュア、しかも部活動のような文化の方が成長という標語を掲げることが多いです。なぜかといえばスカウティングが難しく(多少はできるのですが)、かつプロのように途中で入れ替えをすることができません。いくら成績が悪くてもやめさせて相手校の選手と入れ替えることができないわけです。
では、人の入れ替えができないとなるとどうするかというと、今いるメンバーの能力を最大限に活かすしか無くなるわけです。だとしたらみんなが成長するための文化づくりを行うことになります。
実は部活動はとても優しいところがあって、少なくとも建前上はどんな子供の成長にもコミットします。見捨てたりしません。いずれ外の世界に出た時に困らないように成長にコミットするわけです。
ところがプロは違います。その選手が将来困るかどうかはあまり関係がありませんし、そもそも成長するかどうかが個人の責任という認識が強いです。悪くなればいい選手と入れ替えるだけです。
日本社会において成長が採用されやすいのは、人材の流動性が低く、今いるメンバーでできることを考えなければならない中で自然と生まれてきた文化なのではないかと思います。環境に合理的に適応したともいえそうです。ですが、これから人材の流動性が高まり、フリーランス的に働く人が増えてくると、少しずつこの文化も変わるのかもしれません。世知辛い世の中です。
(この記事は2017年6月23日に為末大HPに掲載されたものです)
この記事に関連するニュース
-
ジョブ型雇用で年収2,400万円の45歳サラリーマン、「転職前の年収450万円だったころ」に戻りたいと嘆く理由…正規社員・解雇規制緩和の「皮肉な処方箋」【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月19日 10時45分
-
入社5年の若手を新規開拓エリアの事業部長に抜擢! ロピアがめざす100人の若手社長育成戦略とは【インタビュー】
J-CASTニュース / 2024年8月31日 12時0分
-
RXプロはHPサイトをリニューアルしました!
PR TIMES / 2024年8月28日 13時40分
-
事故多発「パーソナルトレーニング」見極めのコツ 61件が「治療に1カ月以上要した」、骨折事案も
東洋経済オンライン / 2024年8月25日 9時0分
-
スポーツ界の課題と向き合い、世界一を目指すヴォレアス北海道。「試合会場でジャンクフードを食べるのは不健全」
REAL SPORTS / 2024年8月23日 2時55分
ランキング
-
1大谷も遥か及ばぬ…ジャッジとの衝撃の差「信じられない」 82年ぶり記録に米ファン驚愕
Full-Count / 2024年9月19日 14時1分
-
2大谷翔平が自身に並ぶ49盗塁 ロバーツ監督まさかの辛口評価「いい送球ならアウト」
Full-Count / 2024年9月19日 11時17分
-
3大谷翔平、異次元の「92.5」はボンズ超え「狂っている」「最も効率的だ」 衝撃指標を米絶賛
THE ANSWER / 2024年9月19日 13時33分
-
4巨人の優勝マジックは9→8に 戸郷“菅野超え”3年連続12勝 岡本和は4戦3発、25号2ラン
スポニチアネックス / 2024年9月19日 20時55分
-
5【広島】負の連鎖が止まらず…床田が今季最悪5失点で逆転負け 引き分けなしの敵地8連敗は17年ぶり
スポーツ報知 / 2024年9月19日 21時2分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください