「日本の北朝鮮化?」憂う朝日新聞
Japan In-depth / 2017年8月12日 19時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・朝日新聞、「北朝鮮化する日本?」というタイトルのコラム掲載。
・日本通の韓国重鎮が日本は「官僚が安倍首相を絶賛している」として北朝鮮のようだと述べたという。
・理解し難いが、本記事の立脚地点がそもそも日本側に無い、と考えれば説明がつく。
日本は北朝鮮のようになってきた。なぜなら日本人が安倍晋三首相をほめるからだ――
こんな論評は悪い冗談なのか。北朝鮮のプロパガンダなのか。あるいは常軌を逸した人の独自の「考察」なのか。
ところが朝日新聞のまじめな記事なのである。唖然というか、びっくり仰天というか。自分と同じ日本の新聞記者にこんな「意見」を堂々と書く人物がいることはにわかに信じ難い。
朝日新聞8月11日付朝刊の10面、オピニオンというページに載ったコラム記事だった。「社説余滴」という通しのタイトルがついているから社説を書く論説委員たちの順番のコラムなのだろう。この記事の筆者は国際社説担当の箱田哲也論説委員とされていた。
記事の見出しは「北朝鮮化する日本?」だった。たとえ?がついていても、この見出しが記事のすべてを物語る。日本が北朝鮮のようになっている、という趣旨なのだ。この記事の最重要部分はその末尾だった。記事の総括である。以下のような記述だった。
≪ソウル滞在中、日本通の韓国の重鎮とそんな話をしていると、こう切り返された。
「ある日本のトップクラス官僚など、口を開けば安倍首相はすばらしいと絶賛する。何かに似ていると思ったら、『偉大な指導者、金正日同志は』というあれだ。もう韓国を通り過ぎたんじゃないか」≫
以上の記述からこのコラム記事全体の「北朝鮮化する日本」という見出しが出てくるわけだ。いまの日本が北朝鮮のようだというのだ。しかも政治体制に関して、というのである。
「韓国の重鎮」の言葉を引用し、記事全体の結びとして、その後には自分の言葉はなにもつけていない。つまり自分自身の主張の総括としているのだ。
なんという短絡、なんという歪曲、なんという屁理屈だろうか。現在の日本が北朝鮮と同じだというのである。いや「理屈」という表現さえにも値しない。痴論、稚論とでも呼ぶべきか。
その論拠は「韓国の重鎮」の一言なのだ。日本の官僚が自国の首相をほめたから、日本は北朝鮮と同じだというのだ。いやはや朝日新聞の社説はこうした思考回路の人物によって書かれているのか。その事実を天下に知らしめた点ではこのコラム記事の価値は高いといえるかもしれない。
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