北朝鮮核開発、日本の核武装招く
Japan In-depth / 2017年8月17日 9時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・キッシンジャー米元国務長官が北朝鮮核兵器開発問題で米有力紙に寄稿。
・氏は北朝鮮の核兵器凍結に反対とし、北朝鮮の核の脅威が高まれば日本も核武装すると予測。
・日米安保は、アメリカが北朝鮮の核武装にどう対応するかに影響を受ける、と述べた。
北朝鮮が完全な核兵器保有国となれば、日本が核武装することも避けられない――こんな大胆な予測がアメリカ外交の大御所ヘンリー・キッシンジャー元国務長官によって表明された。
ニクソン、フォード両政権の大統領補佐官や国務長官を務めたキッシンジャー氏はアメリカの対外政策分野では実務と学究の両面で最高級の権威とされてきた。近年では中国と取り引きするアメリカ大企業のコンサルタントを務めて、巨額の報酬を得ているため、中国関連の同氏の提言は割り引かれて、受け取られることも多い。
しかしいま94歳のキッシンジャー氏はなおアメリカの外交や戦略について活発に発言し、対中政策に関してはトランプ大統領から意見を問われた実績もある。そのキッシンジャー氏がいまアメリカの国家安全保障を揺るがす北朝鮮の核兵器開発問題について8月13日付の大手紙ウォールストリート・ジャーナルに長文の論文を発表した。
「いかに北朝鮮の危機を解決するか (How to Resolve the North Korea Crisis)」と題された同論文はまずアメリカが中国との協力を密にして歩調を合わせ、北朝鮮の非核化を目指すことを提案していた。
写真:アメリカアラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex Alaskaから中距離弾道ミサイル迎撃実験の為発射されたTHAAD(高高度防衛ミサイル)(2017年7月11日)出典:米国防総省HP
その方法としてはキッシンジャー氏は「軍事的な手段も除外してはならない」として強硬な態度の堅持を提言し、経済制裁を徹底して強めていくことを訴えていた。しかも同論文は中国やロシアが提案する「北朝鮮の核兵器凍結案」にも明確に反対し、北朝鮮の核兵器の完全保有はあくまで許容してはならないと主張していた。
このキッシンジャー論文でとくに注目されるのは、北朝鮮の核兵器保有は日本の核兵器保有を招くことが必至だと警告した点だった。日本に関連しては同論文は次のように述べていた。
「北朝鮮の核の脅威が強まると、日本や韓国、ベトナムなどの諸国が自国の防衛に核兵器を盛り込もうとするインセンティブが劇的に高まる。この傾向は東アジア地域にとっても、全世界にとっても不吉な展開となる」
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「予測不能な男の再登板」ウクライナ・ガザ・中台・朝鮮半島・・・世界の安全保障の気になる行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 14時16分
-
北朝鮮のロシア派兵は現金と実戦経験が目的だ 800億円の収益と現代戦の経験という実利思考
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 14時0分
-
トランプ外交政策が「やりたい放題になる」根拠 2期目は好き放題にできる環境が整う
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 18時0分
-
北朝鮮軍に"頼る"ロシアの姿勢が激変した事情 ついに交戦開始、北朝鮮側が得るものは?
東洋経済オンライン / 2024年11月6日 10時0分
-
北朝鮮、白書で韓国大統領を批判 「核戦争リスク高めた」
ロイター / 2024年11月4日 11時45分
ランキング
-
1G7外相会合で「ロシアに武器輸出」非難に中国政府「武器を提供したことはない」と反論
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 18時41分
-
2レバノン停戦、市民に不信感も=「双方が違反する」と懸念
時事通信 / 2024年11月27日 19時55分
-
3中東、レバノン停戦を歓迎=イラン「犯罪者の処罰」訴え
時事通信 / 2024年11月27日 20時28分
-
4ソウルで記録的大雪=11月の最多積雪更新―韓国
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
-
5ミャンマー軍トップに逮捕状を請求 国際刑事裁判所の主任検察官「ロヒンギャの迫害に関与」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 20時47分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください