北朝鮮にエロとゲーム、浸透させよ
Japan In-depth / 2017年9月14日 12時7分
場合によれば指導者レベルでの抑制的判断も得られる可能性がある。経済セクターが経済面での不利益の提示等により、そこまで持っていければ全くない話ではない。
金正恩は愚昧な三代目ではない。祖法を振り回すだけの人物ではなく、実利を見通す力量はある。偶像的な自己権威を守る必要はあるだろうが、その過程でも北の国益と調整できるだろう。
これは実績からも窺えることだ。金正恩は市場経済を進めることで経済成長を達成している。貧富の差の拡大といった課題はあるものの経済封鎖下でありながら各階層の生活水準を向上させた。対外政策でも米韓を手玉にとっている。
▲写真 ピョンヤン市内
その点で現実的判断は期待できると見てよい。体制保証の観点から核と弾道弾は放棄できない。ただ、核実験の実施や弾道弾の試射に関しては外交・軍事的必要性と経済的利益と天秤にかけることはするだろう。
逆にいえば、経済交流が途絶した現況は全くその効果も期待できない。経済制裁により輸出入や投資はほぼ止まっている。結果、北は日米韓との対立において経済的不利益を意識しない状態である。経済面で北は核実験や弾道弾試射を躊躇う必要はないということだ。
■ 交渉・連絡チャンネルの強化
経済交流の効果を持つ。
その第二として挙げるのは交渉・連絡の強化である。経済交流を持つことにより日米韓は北朝鮮との交渉・連絡を強化できる。
それにより、ある程度の取引はできるようになる。もちろん体制保証のための核・弾道弾開発は止まらない。だが、核実験や弾道弾試射をするとしても実験場所や実施方法、発射方位や落下水面についてはある程度の調整が可能となる。
あるいは情報を得られるだけでもよい。調整できなくとも、実施日時や場所についての事前に通知、あるいは示唆が得られるだけでもメリットとなる。
それで偶発的事故は避けられるメリットがある。まずは海上なら民間機や漁船への命中といった事件である。あるいは、過度の危険度判定による日米韓国のミサイル迎撃実施や可能性としての電子攻撃、サイバー攻撃といった情報戦実施である。これらはエスカレーションの引き金となる要素だが、公式・非公式の通知あるいは示唆によりその事態を回避できる利益がうまれる。
▲写真 開城(ケソン)工業団地 韓国と北朝鮮が共同経済開発として2004年に開業。2016年に閉鎖。 Photo by Mimura
また、日米韓にとって政治的衝撃を避けられるメリットもある。例えば、事前準備によりミサイル防衛が機能していると国民に安心を与えることもできる。今の日本のJアラートはまともに機能する段階にはない。ただし事前情報があれば円滑に動いている体を装うことができるからだ。
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