カタルーニャ独立騒動と沖縄基地問題
Japan In-depth / 2017年10月22日 9時59分
一方、もっとも異なる点は、周辺諸国との関係性だ。ヨーロッパは歴史的に幾多の民族が割拠し、派遣を巡る戦争が絶えなかった。EUが誕生したのは、400年にわたって血で血を洗う戦いを繰り返してきたフランスとドイツの和解が成ったからであるが、各地で民族・宗教を異にする人々の対立感情はくすぶっている。
英国のスコットランドやスペインのカタルーニャは一典型に過ぎず、人口や経済規模が大きいから日本でも注目されている、というのが実情なのだ。
別の言い方をすれば、こうした分離独立の動きを看過したならば、やがてはEU自体が空中分解しかねない、という危機感がある。カタルーニャの独立をEUは支持しない、と私が断言した理由も、また、EUからの離脱をすでに表明している英国において、スコットランド独立派が、「英国から独立してEUに留まるべき」と訴えている理由も、これでお分かりだろう。
なぜこれが沖縄の基地問題とからめて考えるべきなのかと言うと、もしもこのまま沖縄と日本政府の対立感情が解消されず、沖縄独立論が台頭する自体にでもなれば、歴史的・文化的に琉球=沖縄と関係が深かった中国が、きっと黙っていないからである。
もちろん、日本政府の対応が気に入らないからと言って、中国にすり寄ってもよい、などと考える人が、さほど大勢いるとは思えないが、ひとつはっきりしているのは、「世論ときちんと向き合わない政治」は、決してよい結果を招きはしない、ということだ。
この1ヶ月ほど、国内政治が大きく動いたおかげで、ヨーロッパの政治情勢など、あまり関心を持たれなくなったきらいがある。本当は、これはあまりよくないことだ、と私は思う。
諸外国の情勢について知ることにより、わが国の政治について、より公正な判断が下せるようになるのだから。
トップ画像)バルセロナで経済省前で行われたデモ2017年9月20日 Photo by Màrius Montón
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