北朝鮮の脅威はどの程度? 金王朝解体新書その13
Japan In-depth / 2017年10月28日 23時0分
▲写真 陸上自衛隊 対砲レーダ装置 JTPS-P16(牽引移動状態)
軍事用語では火砲や戦車、航空機などを「正面装備」と呼ぶのだが、正面装備だけがいくら立派でも、レーダーや各種の情報収集機器が貧弱では、戦力として十全に機能することは期待できない、というのが現代の軍事学の常識なのだ。
端的に言うなら、双眼鏡で敵を探す側と、レーダーのみならず、無人機や人工衛星からの情報を常時タブレットで見ることができる側とでは、どちらが有利か子供でも分かる。
空軍や対空装備にしても同様で、8000門の対空砲(地対空ミサイルを含む)を並べて米軍の爆撃機を迎え撃つ体制だ、などと言われているが、これまたすでに報じられた通り、電力不足でレーダーがまともに稼働しておらず、米軍機の接近を探知できなかったという体たらくだ。もはや「動く軍事博物館」などと評したなら、各国の軍事博物館からクレームが来そうな話である。
それでは、北朝鮮軍の本当の脅威とはなんであろうか。まず指摘しておきたいのは、潜水艦の話でも触れたが、「旧式だから脅威にはならない」という議論は成り立たない、ということである。
38度線の北側から、多数の重砲が火を噴いたような場合、韓国軍と在韓米軍は、対砲レーダーを駆使して、集中砲火と空爆により短時間で沈黙させ得る。しかし、沈黙した時点でソウルは火の海となっている可能性が高いのだ。
第2に、北朝鮮側が、通常兵器では米艦に勝てないことをよく知っている、ということで、その認識があるからこそ、核開発に血道を上げているわけだが、これと並んで、生物・化学兵器の存在も見逃せない。
核弾頭については、すでに弾道ミサイルに搭載できるレベルまで小型化に成功していると見る向きと、まだそのレベルには到達していない、と見る向きがあって、確定的なことは言えないのだが、サリンなど有機リン系の毒ガスは確実に有している。
さらに、兵士の練度は低いと述べたが、8万人とも10万人とも言われる特殊部隊は話が別だ。『シュリ』という建国映画に描かれていたが、生命の危険など顧みない過酷な訓練を課され、米軍情報部からも「東洋のランボーたち」と評されるほどの戦闘スキルを身につけているという。
しかもこの部隊は、敵の侵攻を受けた際にゲリラ戦で対抗する、という目的ではなく、指導者の命令一下、秘匿された地下トンネルや小型輸送機などを用いて韓国領内に侵入し、破壊工作を行うために編成されている。
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