トランプアジア歴訪 本命は対中政策
Japan In-depth / 2017年11月10日 9時6分
〇欧州・ロシア
先週はカタロニアの独立宣言騒動でスペインが大いに揺れたが、実はこうした問題は他の国にもある。深刻なのは、例えば北部イタリアの独立志向、ベルギー北部のオランダ語地域、英国のスコットランドや北アイルランドなどだが、いずれも解決の見通しは立っていない。これでEUは大丈夫なのか、大いに気になるところだ。
〇東アジア・大洋州
やっぱり韓国は伝統的バランス外交を続けている。中国が、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の追加配備中止、ミサイル防衛(MD)への不参加、韓米日3カ国軍事同盟に発展させない、という「三不」を韓国が約束したと表現した。これで日米の信頼を失うのは必至だが、韓国はあまり気にならないらしい。
今週後半にトランプ氏は初訪中するが、米国は日本以上に、対中政策では相互主義的貿易を求めるだろうから、中国との交渉は厳しいだろう。これに対し、中国側は南シナ海、貿易政策で譲歩する姿勢は示さないと思われる。案の定、今回の訪中では米中首脳による共同声明の発表もないそうだ。
対中政策について、米国では昔のようなG2論が影を潜め、今は同盟国重視か、アメリカ第一かのせめぎ合いが続いている。このところ、中国は米国との対話に苦慮しているようだ。クシュナーとイヴァンカだけではダメなのだ。
写真)イヴァンカ・トランプ米大統領補佐官と夫のクシュナー大統領上級顧問 2017年2月17日 flickr: North Charleston (photo by Ryan Johnson)
党大会後に習総書記は権力集中を進めたようだが、毛や鄧とは違い、習氏に対北朝鮮政策で劇的な政策変更を断行できるほどのカリスマはない。中国は当分、対米譲歩など考えないのではなかろうか。
〇南北アメリカ
先週起訴されたトランプ陣営のPマナフォード元選対本部長ら2人は今も保釈が認められず、事実上の自宅監禁が続いているようだ。気の長い話だが、今後もロシアゲート問題がメディアの視界から消えることはないだろう。
〇中東・アフリカ
サウジアラビアで著名な王子や実業家が相次いで汚職等の容疑で摘発されている。若い皇太子への権力集中ばかりが注目されているが、こうした動きはサウジ国内の急進的改革運動の側面もあるだけに、要注意だ。昨日は抵抗勢力の国外逃亡を阻止すべく空港が閉鎖されたという。サウジがこのような異常事態にどこまで耐えられるのか、ちょっと心配だ。
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトのウェブサイトに掲載する。
トップ画像:握手を交わす日米両首脳 平成29年11月6日 出典)首相官邸
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