激震マレーシア マハティール神話見直し
Japan In-depth / 2017年11月12日 11時56分
セランゴール議会は捜査要求の中で「ブギスという一定の民族に対し、憎悪や対立を煽るこの発言は社会の混乱と治安悪化を招く問題発言である。元首相としてもっとこの国のブギスの歴史を知るべきだ」と厳しく指摘している。
■ ブギス出身のスルタンも反発
さらに同州のスルタン、シャラフディン・イドリス(Sharafuddin Idris)氏もマハティール批判を展開している。「マレーシアの全ての政党、政治家は国の調和と統一を乱す要因になりかねないこのような(マハティール元首相のような)発言はするべきではない」「ブギスは歴史的にマレーシアの宗教と自由、平和のために勇敢に戦ってきた事実があるが、今回の発言はそうした事実を歪めている」として発言の訂正と謝罪を公式に求めているのだ。
▲写真 シャフラディン・イドリス氏 2017年 Photo by Baba.jace
シャラフディン氏はブギス族の末裔として知られる人物だ。ブギス族というのは14世紀頃から記録がある航海術に秀でた海洋民族で、東南アジア海域でかつては海賊として活動。現在では主にインドネシア・スラウェシ島に居住しているがマレー半島など王朝を築くなど各地にその末裔がいる。
州議会やスルタン、さらにマレーシアのブギス人組織などから捜査要求が出されたことについてマレーシア警察はこれまでのところ一切コメントしておらず、マハティール元首相への事情聴取も行っていないという。
■ インドネシア副大統領も訂正・謝罪要求
さらに11月7日には、隣国のインドネシアのユスフ・カラ副大統領までもが「ブギス人としてショックを受けるとともに、マハティール元首相も発言は侮辱でもあり、訂正と謝罪を求める」と不快感を示し、外交問題にもなりかねない状態になっている。
▲写真 ユスフ・カラ インドネシア副大統領 出典:Government of Indonesia
カラ副大統領は南スラウェシ州マカッサル出身のブギス人として知られ、元首相の発言が副大統領自身、身内、ブギス人全体に対する見過ごすことのできない侮辱であるとの立場を明らかにしている。
インドネシア国内のブギス人団体は今のところ表立った抗議は表明していないものの、カラ副大統領の要求に今後マハティール元首相側がどう対応するのか、その成り行き次第では今後さらに反マハティールの声が高まることが予想されている。
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