核放棄、最終局面迎える【2018:北朝鮮】
Japan In-depth / 2017年12月31日 11時9分
米国外交問題評議会(CFR)も2018年に米国の安保を脅かす問題のうち北朝鮮との軍事衝突の可能性を8大1等級脅威要素のひとつに選んだ。
この緊張状況に対する北朝鮮側の反応は2018年1月1日の「金正恩新年辞」で示されることになるだろう。新年辞で金正恩が非核化を含めた対話のニュアンスを示せば一転対話の方向に進む可能性は大きくなるが、引き続き米本土攻撃の核ミサイル完成に号令をかけ、挑発を続ければ、米朝の緊張は一気に高まる。米国の平昌オリンピック不参加も議論にのぼるかも知れない。
特に危険なのは毎年3月から4月にかけて実施されている「韓米合同軍事演習」期間だ。米国は2017年中の軍事演習を通じて様々なケースの軍事作戦をほぼ終えた。2018年の「韓米合同軍事演習」期間に北朝鮮が太平洋上での水爆実験や、グアムへ向けてのミサイル発射などを行えば、米国は軍事行動を開始するだろう。それが局部戦争で終わるのか全面的戦争になるかは誰も分からないが、米国は多分最悪の場合全面戦もありうるとの覚悟のもとに行動に移るだろう。
▲写真 韓国ピルスンレンジ(Pilsung Range)で行われた 米空軍、米海兵隊、韓国空軍による合同軍事演習 2017年9月18日 出典:U.S.Pacific Command Photo By: SSgt. Steven Schneider
北朝鮮では現在、経済制裁だけでなく干ばつ被害によって経済状況の悪化が進んでいる。国民の金正恩体制に対する不満はかつてなく高まっているだけでなく指導部内部ですら亀裂が深まっている。
幹部の「面従腹背」はすでに一般化した。統治資金の外貨も枯渇し苦しい状況に陥っている。北朝鮮内部からの情報では、現在の外貨獲得は、正常な道が細り、中露との密輸とサイバーハッキング及びビットコイン操作に依存しているという。そのために当初年末に予定されていた「万里馬運動」の大会も流れた。国内の苦境が深刻化する中で国際的孤立もこれまで見られないほど深まっている。
▲写真 1997年 北朝鮮の干ばつ時の子供たち flickr:Trocaire
米国がこの機会を生かし、トランプ政権が続けてきた毅然とした政策を続ければ、北朝鮮の核問題解決は1993年以来の最終局面を迎えるに違いない。もしも米国がここで決断を先送りにし、軍事的圧力を心理戦にとどめて、だらだらと事態を引き延ばせば、トランプ大統領は、再びクリントン、ブッシュ、オバマの過ちを繰り返すことになるだろう。それだけではない。北朝鮮核除去の最後の機会を逸したという大きな過ちを歴史に記録することになる。
トップ画像:北朝鮮の弾道ミサイル 火星15号 出典 Missile Threat CSIS
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