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選挙の年、各国混戦模様【2018:アジア】

Japan In-depth / 2017年12月31日 18時0分

 カンボジアでは、7月29日に下院の総選挙が実施される。当初は野党「救国党(CNRP)」が、長期独裁政権を維持するフンセン首相率いる与党「人民党(CPP)」にどこまで議席数で迫り、政権交代の道筋がみえるかどうかが最大の焦点とみられていたが、人民党の勝利が確実な情勢となっている。

写真)カンボジア フン・セン首相 出典)World Economic Forum

というのも2017年6月に実施された統一地方選挙で人民党が勝利したものの、救国党が予想外に議席を伸ばした。それを受け、国政レベルにその勢いが及ぶことに大きな危機感を抱いたフンセン首相が野党勢力への封じ込め、弾圧強化に踏み切ったからだ。

救国党で20年以上に渡って党首を務め、民主化運動のシンボルとされ国民の支持も強かったサム・レンシー党首が、政権側の意向を受けた治安当局の逮捕を逃れるため、2015年以来フランスに避難している。

写真)サム・レンシー元救国党党首 2013年10月 Photo by Heng Reaksmey

後任の党首ケム・ソカ氏は2017年9月3日、反逆罪容疑で逮捕され、11月16日には最高裁から救国党の解党命令、同党幹部118人の政治活動禁止令が出された。この前後から当局の逮捕を逃れるため多数の救国党議員が国外に脱出、事実上救国党は消滅する事態になってしまったのだ。

米政府は「選挙に正当性も公平性も望めない」とフンセン首相を批判しているが、経済支援による中国の強力な後ろ盾を得ている同首相は全く意に介さず、国際社会からは「民主主義の死」「暗黒の独裁政権」との集中砲火を浴びている。

こうした経緯から、下院総選挙そのものは「無風」で与党圧倒的勝利が見込まれているものの、不測の事態が起きる可能性もあり、緊張が高まることは間違いない。

■ 軍政の民政移管時期判断が焦点

 タイは2014年5月のクーデターによって、当時のインラック首相から政権を奪取したプラユット首相率いる軍政が続いている。

写真)タイ インラック元首相 2012年9月 出典)ロシア大統領府

軍政は当初、早期の下院総選挙実施での民政移管を主張していたが、政治的不安定に加え2016年10月にプミポン国王が死去、約1年の服喪などで民政移管が大きくずれ込んでいる。

写真)タイ プラユット首相 出典)Flickr:by Prachatai

国外に脱出したインラック前首相、タクシン元首相を支持する勢力の動向、爆弾テロなどの社会不安を勘案しているとされる軍政が、2018年に総選挙を実施するかどうかも不透明だ。国民は軍政下で低迷する経済からの脱出には早期の民政移管が不可欠としているものの、ワチラロンコン国王の意向、民政移管後も政治に影響力を残したい軍政の思惑なども入り乱れて、2018年のタイ政治からは目が離せない状況が続く。

 ★大統領選に向け本格始動のインドネシア

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の大国・インドネシアは2019年に総選挙、大統領選が予定されているが、庶民派として人気の高い現職のジョコ・ウィドド大統領の再選の可能性が高くなっている。しかし、前回大統領選で惜敗した野党グリンドラ党の指導者、プラボウォ氏が、捲土重来を期してユドヨノ前大統領との関係強化、出身母体である国軍内部の人脈作りで虎視眈々と政権奪取を狙っている。

写真)インドネシア プラボヴォ・スビアント グリンドラ党党首 出典)公式Facebookページ

地方自治体の首長選も控えており、大統領選・総選挙の前哨戦として各政党が力を入れており、2018年は政治の年となるのは確実だ。

トップ画像:インドネシア ジョコ・ウィドド大統領 出典)ジャカルタ州政府

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