微妙なバランス保てるか?【2018:金融】
Japan In-depth / 2018年1月4日 7時0分
写真)東京・晴海、勝どきのマンション群
Photo by 新橋のリーマンショッカー
2018年は、その辺の微妙なバランスが保たれるかどうかが問われる年になるのではないだろうか。現在の仮想通貨の市場などをみていると、もはやバブルの雰囲気だ。それは、これまでの金融緩和の過程で創出されたマネーの流入によって生み出されていると言って良い。そのような兆候からすると、先進国中央銀行の金融政策の変化は歓迎すべきものと言える。
他方、例えば日本の株価についてみると、過熱と言える明らかな証拠をみつけるのもなかなか難しい。実体経済面でも、20プラスα年振りと評価できる良い指標が出ている。この30年の日本経済を振り返れば、1990年代初頭に崩壊したバブルの後始末が漸く終わったのが2000年代前半。そこで、いよいよ前向きに行こうとしたところ、世界金融危機に見舞われた。その二番目の後始末もグローバルにみて終わりつつあるなら、日本経済が1990年代初頭のマクロ経済状況に近づいてもおかしくない。それでも実質成長率が安定的に2%に届いている訳ではないし、2%のインフレ目標も未達成だ。
もっとも金融政策については、現在その緩和の程度は、世界金融危機後、最大になっていると言って良く、それと20プラスα年振りの好経済環境というバランスが長続きするだろうかという気もする。現在、日本経済が直面する構造的な問題を解決の方向に持っていくのにかなりの時間がかかることを考えると、なおさらそうだ。
さらに、景気循環の観点からは、景気拡大の長さが米国、日本ともに歴史的にみてかなり長くなっている。何かのきっかけに調整局面に入る確率は、2018年を通じて高まっていくとみておくべきだろう。そのきっかけとしては、世界を見渡せば、政治的な不安定要因がここかしこにあり、またいわゆる地政学的リスクも様々なところにある。
2018年の金融市場では、以上のように、実体経済の地力と金融・財政政策によるサポート力が引き続き微妙にバランスしていくかどうかが注視されるだろう。日本では特にそうだが、金融・財政政策の余力は先進各国とも長期的にみればかなり乏しくなっている。そうした中で、いずれの国・地域も、新しい技術革新の下での経済構造の変革、高齢化する人口動態への対応といった、ある程度時間のかかる課題に対応していかなくてはならない。
イメージ画像
出典)Pixabay Photo by sasint
しかし、経済は常に循環し、調整局面はこれからも必ず訪れる。金融市場では、ともすれば日々の動きは短視眼的になりがちだが、2018年、最終的には将来を見通した評価が形成されていくものと信じたい。
トップ画像:日本銀行本店
Photo by Wiiii
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