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「弱い指導者」の弊害 カタルーニャ独立運動(上)   

Japan In-depth / 2018年1月17日 18時23分

写真)プッチダモン前州政府首相
出典)Carles Puigdemont Twitter

 

一方の独立反対派だが、ラホイ首相率いる国民党は,選挙前の11議席から3議席と歴史的な大敗北を喫している。反対派の票は、独立派との対決姿勢を強めつつあるシウダダノス(市民の党)に流れた。

 

とどのつまり政権与党は、独立派と反対派、双方の有権者から挟み撃ちにあって惨敗を喫したのである。さらに言えば、独立派も前述の通り一枚岩ではないので、これから連立協議に入るわけだが、プッチダモン前州政府首相らは、憲法違反の独立宣言を行ったとして中央政府から訴追され、目下ベルギーで暮らしている。最悪、再選挙という可能性も視野に入れつつ、新たな州政府の枠組み作りは、非常な苦難を伴うに違いない。

 

独立派がまとまりきれない理由は、もうひとつある。中央政府からの訴追を逃れるべく、ベルギーに亡命したプッチダモン氏に対して、臆病者呼ばわりするような声が聞かれるのだ。

 

彼に対しては、反逆罪・国家転覆陰謀罪といった罪状まであげられており、これは読んで字のごとく、テロリストによる殺人などに適用されるものだから、中央政府の過剰反応であることは言うを待たない。しかし、それならそれで、あくまで国内に留まって法廷闘争で白黒をつけるべきだろう、というのが、彼を批判する人たちの言い分なのである。

写真)マリアーノ・ラホイ・ブレイ スペイン首相
出典)flickr: European People's Party

 

これに対して、ラホイ首相の政党が惨敗した理由は、はっきりしている。独立の是非を問う住民投票に際して、中央政府が警察を動員して妨害をはかり、多くの負傷者を出したことを、有権者が許すはずなどなかったのだ。

 

つまり、独立派も反対派も、暴力による解決など望んでいない。にも関わらず、騒動の出口がなかなか見えてこないのは、双方に強いリーダーシップが欠如しているからだと、私は考える。

プッチダモン、ラホイ両氏ともに、もともとは温厚な人柄だと言われている。安定している時期は、それで人気を得られるかも知れないが、今回のような修羅場になるのならば、ただの「いい人」をトップに据えておくべきではなかった。

まったくの事実問題として、二人の指導者が、いずれも強硬派からの突き上げを抑えることができなかったことこそ、穏健な解決からどんどん遠のいて行ったのだ。

 

独裁者や「強い指導者」が、国民にとって危険な存在であることを、我々は歴史から学んでいる。しかし、優柔不断な「弱い指導者」も、決して国民のためにならないということを、今次のカタルーニャの問題から、我々は学ぶべきではないだろうか。

(下に続く。全2回)

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