AI、ロボットが中間層直撃
Japan In-depth / 2018年1月20日 11時52分
そのためか政府は最近、出生率を1.8程度に上げ、2080年の人口は1億人を目標とする。そして成長の源は人口数よりも1人当たりの生産性を上げれば、十分に経済大国として生き残れる、と強調し始めている。政府だけでなく、“人口増加率の減少を無闇に悲観する必要はない。少子・高齢化を悲観するより1人当たりの生産性を上げることに経済政策や規制の多い社会の動きを変えてゆけば日本はまだまだ大国としての存在感を保てる”という論調が増えている。
▲図2 我が国における総人口の長期的推移 出典:総務省
しかもこれからの時代はITや人口知能、ロボットの活用、女性の社会参加、経験豊かな高齢者の労働意欲も高いので、社会のあり方も含めた改革を進めてゆくことに知恵を絞るべきで、そこから新しい日本の道が開けるというのだ。
■ ロボット、AIが人口減を穴埋めする?
ただ、ロボットやAIが活躍し、それらが人間にとって代わる時代となれば、またそこに大きな社会問題が登場してくるに違いない。まず単純労働で生活していた人々は、ロボットなどに働く場を奪われてしまう可能性が高い。科学と技術の発達が社会問題となってハネ返ってくるのだ。また生産効率はあがるが、ロボット社会は味気のない生活を出現させることになるだろう。
人口知能の発展・進歩も、人間がAIによる予測や確立などで能力を判断されるようになると、AIの判断を優先し人間に落第の烙印を押して救済されないケースも出てきそうだという。また芸術や美的感覚など感性の世界にも無数のパターン認識が入り込み、しかも早さが圧倒的に違うと人間は負けてしまう。過去のあらゆるデータを取り込み、瞬時に判断できるようになるからだ。アメリカのグーグルでは2045年頃までに、あらゆる分野で人間を上回るAIが登場すると見立てて開発を進めているという。
■ 置いてけぼりになる人間
すでに米国IBMの人口知能「ワトソン」は、2011年にクイズ王と対決し勝利したし、展開のパターンが無数にあるといわれていた囲碁の世界でもAIの「アルファ碁(AlphaGo)」が世界のトップ棋士に4勝1敗で勝っている。
▲写真 中国の囲碁トッププレーヤーとアルファ碁(AlphaGo)の対局の様子 出典:AlphaGo WEBサイトより
20年以内に日本の労働人口の49%がAIやロボットに代替されるともいわれる。まさに日本の中間層を直撃するのだ。日本の中間層の柱となっていた分野の危機は、そのまま日本社会の危機につながる可能性もあるわけだ。AIやロボットの導入は、生産性を上げ、高成長をもたらす主因になるという論調が増えているが、社会が効率一辺倒になると人間性を失い、社会全体の危機にもつながることを頭に入れて対応する必要があるだろう。
トップ画像(イメージ):出典 Pixabay
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