競争イコール格差ではない
Japan In-depth / 2018年1月20日 23時35分
競争を止めようと叫んだところで、上海の若者が一生懸命働くことを止められない。学生は楽しむのが本分だと言ったところで、途上国の学生が勉強することを止められない。そもそもほとんどの競争相手には日本語が通じない。少し前の日本に世界からお前らがそんなに努力するから俺たち負けちゃったじゃないかという批判があったとしても聞かないだろう。それと同じだと思う。
▲イメージ画像:出典 Pixhere
負けることはあるが、負けてもそれは自分の否定ではない。運が悪かっただけなのでまた勝負すればいい。勝負嫌いの人の多くが、過剰に勝負と自分とを重ねすぎている。勝負に一喜一憂しすぎる人ほど勝負は怖くなる。負けた悔しい。勝った嬉しい。どうすれば勝てるか。なぜ負けたのか。それの繰り返しをしているだけにすぎない。私は面白いと思う。面白くないと言う人もいると思う。いずれにしてもそうしている人だらけの中に私たちはいる。
世界の常態は競争である。意欲と能力と環境により、結果は変わり、そこに格差はどうしても生まれる。世界の常態自体が問題だと思って革命を起こすのもいいかもしれないが、歴史上は競争状態は基本的には保たれてきた。もちろん競争なのでうまくいかない人もいるので、それらは国家が補償すべきだと思う。その補償が十分かどうかという議論はさておき、振り返ると人類史では最も安全で挑戦しやすい状態に私たちはいる。
何度も言うが、世界の常態は競争である。そして、競争を止めようと話しかけて聞く相手ではない。
(この記事は2017年7月18日に為末大HPに掲載されたものです)
トップ画像(イメージ):出典 Pixabay
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