日本にもフェイクニュース大賞を
Japan In-depth / 2018年1月22日 18時0分
トランプ大統領があげたフェイク(偽)の第一位が日本でも信者の多いニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ポール・クルーグマン氏の誤報だったことはとくに含蓄が深い。
写真)ポール・グルーグマン氏
出典)パブリックドメイン photo by Prolineserver
クルーグマン氏はトランプ氏が大統領に当選してすぐ、「トランプ大統領になると株価は下がったままで、決して回復しない」と断言するコラム記事を書いた。現実はまさに正反対だった。トランプ政権の発足以来、ニューヨークの株価は上昇に上昇を続け、いまもなお記録破りの高値を更新するにいたった。完全な誤報だった。
クルーグマン氏はノーベル経済学賞の受賞者である。だから日本でも信奉者は多い。だが政治的には一貫した民主党系リベラル派であり、共和党のトランプ氏には徹底した非難を浴びせてきた。アメリカの経済専門家の間でも最も先鋭的なトランプ叩きの活動家だともいえる。
そのクルーグマン氏が自分自身の政治心情をもこめて、トランプ政権の危険性や欠陥を説くのは政治面だけみれば、ごく自然である。だが公器である主要新聞がコラム記事として、いくらかの客観性を標榜しながら掲載する一文としては、批判されてもやむをえない。その内容が完全にまちがっていたからだ。クルーグマン氏本人もこの記事での予測は誤っていたと認め、撤回したと語っている。
だからトランプ氏のフェイクニュース大賞は少なくとも主要メディアの報道や論評のいくつもが完全にまちがっていたことを内外に宣言したわけである。しかもそのまちがいはすでに証明されていた。
写真)ニューヨークタイムズ本社
Photo by Jleon
だが日本側でも朝日新聞など主要新聞はこのフェイクニュースという概念自体を認めようとしない。むしろトランプ大統領によるメディアの抑圧であるかのように扱っている。これでは「新聞よ、おごるなかれ」と言いたくなる。古参の新聞記者としての自己反省ともいえるだろう。
そんな新聞側のおごりを感じさせられた一例は日本新聞協会が2017年の新聞週間に一般から募集した代表標語だった。新聞を褒める言葉と呼んでよいだろう。その標語は「新聞で 見分けるフェイク 知るファクト」だった。この標語の前提は新聞にはファクトだけが書かれており、フェイクはない、という趣旨である。新聞を読んでいれば「事実」が書かれているから「偽」はわかる、という意味である。ところがその新聞にも事実として記されている偽情報があることが今回のフェイクニュース大賞で、改めて証明されたのだ。
写真)イメージ画像
出典)Pixabay
日本の新聞側のこんな態度をみると、日本でもフェイクニュース大賞の開始を提言したくなる。メディアのためにも、受け手のために、切磋琢磨となるだろう。そのためのメディアの正誤のチェックは官よりは、民が適切だろう。たとえば本ニュース・評論サイトの
Japan In-depthがその任にあたってもよいではないか。日本でもフェイクニュース大賞を、と繰り返し、提案したい。
【訂正】2018年1月23日 8時45分
冒頭の【まとめ】、以下を訂正致しました。
訂正前:日本でもフェイクニュース大賞を儲けたらどうか。
訂正後:日本でもフェイクニュース大賞を設けたらどうか。
トップ写真)ドナルド・トランプ大統領
出典)flickr : Gage Skidmore
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