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論議呼ぶオバマ前大統領夫人肖像画

Japan In-depth / 2018年2月22日 13時15分

この肖像画は、ミシェル夫人と同じ黒人女性の前衛的な画家、エイミー・シェラルドさんにより描かれていた。大統領とその夫人の公式肖像画を黒人画家が描くのは今回が初めてだともいう。

▲写真)画家のエイミー・シェラルド氏 出典)amysherald.com

シェラルドさんは、人物画ではそのモデルの人間像全体を社会、政治、文化という背景までも加味して、その本質部分を自分なりに特徴づけてまとめるという作風で知られている。だから今回の場合も「絵が実物にそれほど似ていなくても、実物の本質部分をそれなりに表現することの方が大切」(ワシントンの政治新聞「ポリティコ」の評)だというわけだ。要するに画家が独自にとらえたモデルの特徴が本物そっくりという写実主義に優先してもいいではないか、という姿勢だといえる。

 

■黒人の芸術を象徴するドレス

ミシェル夫人の肖像画でもう一つ多様なコメントを引きつけたのは絵の下半分を埋め尽くすような巨大なガウン風のドレスだった。この点に「人物よりもドレスが目立ちすぎる」というような批判がインターネット上でもあふれた。

このドレスは、ミシェル夫人とはとくに親しいファッション会社「ミリー」の女性経営者で、著名なデザイナーのミシェル・スミスさんの作品だった。

スミスさんはこのドレスにミシェル夫人の体現する「愛国心、行動主義、伝統、近代性などを象徴するメッセージをこめた」と語っている。ドレスには南部アラバマ州の黒人地域で長年、特産されてきたキルトがふんだんに使われていた。「アメリカ製、黒人の芸術」というような点で、欧州のブランド品を使うトランプ大統領のメラニア夫人への政治的批判もこめられているとい見方もある。

▲写真)デザイナーのミシェル・スミス氏 出典)MILLY HP

スミスさんは政治的にも熱烈な民主党リベラル派で、オバマ氏を選挙戦でも活発に応援してきた。トランプ大統領嫌いでも知られ、そのための抗議活動に頻繁に参加している。このへんにもミシェル夫人との共通項があるわけだ。

そんな政治面でも同志であるスミスさんがミシェル夫人のために特別に提供した衣装は、歴史に残る肖像画でも大きく強調されたことは、ある意味ではごく自然だともいえるようだ。それが一般の趣味と異なっても、不思議はないということだろう。

※トップ写真)Michelle Obama portrait 出典)Flickr Victoria Pickering 

 

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