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習近平国家主席任期撤廃で米硬化

Japan In-depth / 2018年3月3日 13時2分

▲写真 トランプ大統領 flickr:The WhiteHouse

トランプ氏がこのように批判する究極の標的は、アメリカ歴代政権の対中関与の政策である。中国をWTOに入れるという措置は、アメリカにとっては対中関与政策の大きな柱だったのだ。

「独裁で貧困な中国を国際的なシステムに招きいれ、国家としてより豊かに、より強くすることを助ける。国際社会の責任ある一員として歓迎し、そのように扱う。そうすれば中国自体が必ず、より民主的、より自由、法の支配を守る国際社会の普通の一員となるだろう」

アメリカの対中関与政策とはこのような骨子だろう。その関与は、米中国交が回復された1979年から歴代の政権が大前提として掲げる政策基準だった。ところが最近になってまず、民間や議会からその関与政策はまちがいだったとする主張が起きてきた。

代表的なのは、中国の軍事研究で米側の最重鎮とされるマイケル・ピルズベリー氏が2015年刊行の著書で発表した「アメリカ歴代政権の対中関与政策は完全にまちがいだった」とする主張だった。

▲写真 マイケル・ピルズベリー 出典:パブリックドメイン

1970年代のニクソン政権からオバマ政権まで一貫して国防総省の中国軍事動向を調べる要職にあったピルズベリー氏は『100年のマラソン:米国に代わってグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』("The Hundred-Year Marathon: China's Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower")という自著で自己反省をもこめて、そんな見解を公表した。

 <中国共産党政権には民主化も、法の支配も、アメリカ主導の国際秩序への参加も、実は最初からその意思はなく、現在の独裁体制のまま、民主主義も導入せず、アメリカを追い越す力をつけて、中国ふうの国際秩序の構築を目指すという野望を一貫して隠し持ってきた>

というのだった。オバマ政権はその8年間の全体を通して、この対中関与政策の推進に努めたといえる。

▲写真 習近平国家主席とオバマ前大統領(2015年9月) 出典:米国務省 Share America

その目標はもちろん中国の民主化だった。だがその結果が同政権が去ってちょうど1年後のこの時期に「国家主席の終身在任」という最も非民主的な措置となって跳ね返ってきたのだ。

だがトランプ大統領はすでに対中関与政策の非難をあらわにしてきた。中国への安全保障、経済の両面での険しい姿勢を鮮明にしてきた。米中関係の今後は波荒らしの展望なのである。その大きな曲がり角が今回の中国側の国家主席の任期撤廃の措置だといえるのだ。

トップ画像:習近平中国国家主席夫妻とトランプ米大統領夫妻 2017年4月 北京 出典 U.S.Embassy & Consulates in China

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