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北朝鮮の譲歩は本物か

Japan In-depth / 2018年3月9日 11時12分

 

同報告書は冒頭の部分で今回の北朝鮮の動きを「私たちは北朝鮮問題に関して大前進を果たしたのか」という疑問の提起で特徴づけている。そしてその答えとして「いや、まだ果たしてはいない」と述べていた。要するに本当の意味の大前進ではなく、北朝鮮側の大譲歩でもない、というのである。

写真)米トランプ大統領に電話する韓国文在寅大統領 2018年3月1日

出典)韓国大統領府

 

同報告書はそうした慎重で懐疑的な見方の理由として以下の諸点をあげていた。

 

・北朝鮮がアメリカとの対話をしてもよいというのは、アメリカによって引き起こされた危機を回避するための手段であり、北朝鮮が唱える「朝鮮半島の非核化」とは新しい提案ではなく、 韓国への米国の拡大核抑止を終わらせ、米韓同盟を弱くしようという年来の試みの一環である。

 

・北朝鮮のいまの外交攻勢も「並進路線」戦略全体のなかにおいてみなければならない。「並進」とは核兵器開発と経済開発とを同時に進めることであり、一方だけを後退させるわけではない。いまの北朝鮮の態度は対外戦略の大幅な変更ではなく、核兵器開発を基礎にして、それを利用して外部世界から経済的な利益を獲得するという方法への戦術的なシフトだといえる。

 

・アメリカと韓国の政策調整が重要である。韓国自身もこれまではいかなる南北会談の進展も米朝間の北の非核化問題の協議と並行して進めると述べてきた。だが今回は韓国はアメリカの意向を聞く前に北朝鮮との南北首脳会談の開催をアメリカには条件などを事前に詳しく告げずに決めてしまった。

 

・北朝鮮の核問題については多国間、二国間を問わず、いかなる交渉でもかつての6ヵ国協議の2005年の声明での原則明示が有益となる。この声明はこれまでで北朝鮮が核兵器の放棄、核開発計画の放棄を明文化した、ただ唯一の誓約である。この声明は米国が北朝鮮を核兵器でも非核の通常兵器でも攻撃しないことを述べた安全保障の確約でもあった。この確約は日本、中国、ロシアなど他の関係諸国も認めるだろう。

 

 以上のように、アメリカ側からすれば、「北朝鮮の核放棄」も「北朝鮮の安全保障の保証」もすでに一度は約束したこともあるのだ、ということになる。だがかつてのその約束はみな破られてしまった。今回も同じように北朝鮮が言葉だけの「核放棄」を唱え、実効措置をとらない可能性が高いのだ、と示唆しているわけである。

 

このようにアメリカ側では北朝鮮に対して慎重で不信に満ちた対応が多いのだ。

 

 

 

TOP画像:韓国文在寅大統領からの親書を北朝鮮金正恩委員長に手渡す韓国大統領府国家安全保障室の鄭義溶(チョン・ウィヨン)室長 2018年3月5日

出典)韓国大統領府 Photo by Cheong Wa Dae

 

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