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米空母、ベトナムに歴史的訪問

Japan In-depth / 2018年3月10日 19時30分

そんな戦いの場だったダナンにこの3月5日、アメリカ海軍の原子力航空母艦カールビンソンが入港した。歴史も変われば変わるものである。米軍を撃退して、南ベトナムを滅ぼした北ベトナムは翌1976年に全土を公式に統一し、国名もベトナム社会主義共和国と改めた。共産主義政党の一党独裁政権である。かつて敵だったアメリカとは敵対関係のままだった。だが1995年には国交が樹立された。

そしてその国交樹立から23年、ベトナム戦争の終わりから43年、米軍のベトナムへの軍事介入から53年のこの2018年3月5日、アメリカとベトナムはついに軍事的なきずなの構築を内外に誇示するにいたったのだ。米海軍の主力空母カールビンソンがダナンの港に10万トンの巨体を寄せたのである。しかもベトナム側から熱い歓迎を受けたのだ。かつての敵同士が固い握手を交わしたのだった。

▲写真)ベトナムのダナン港の歓迎式典 出典)Official U.S. Navy Page Photo by U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Devin M. Monroe

▲写真)ダナンの港で米海軍を歓迎する式典 出典)ベトナム政府

現地からの報道によると、カールビンソンの乗組員約6000人はみな港に降りて、地元の住民たちとも交流した。米軍将兵はダナンの養老院や孤児院を訪れ、慰問をした。ベトナム人の子供たちとサッカーにも興じた。ニンニクの皮をだれが一番、速くむくかというコンテストにも加わった。同時にベトナム市民たちが空母カールビンソンの艦内を訪れ、見学したという。

ベトナム駐在のアメリカ大使、ダニエル・クリテンブリック氏は現地で記者会見して次のように語った。

▲写真)ダニエル・クリテンブリック氏 出典)U.S. Embassy and Consulate in Vietnam

「この空母訪問はアメリカ、ベトナム両国が近年、果たしてきた二国間関係の劇的な前進を誇示しています。両国は平和と繁栄、そしてこの地域の諸国が依存する商業や航行の自由を保つという願望を共有しています」

この言明のなかの「航行の自由」という言葉こそがカギだった。アメリカとベトナムというかつての敵同士を接近させた要因の一つは南シナ海での「航行の自由」の確保なのである。より具体的に述べるならば、この「航行の自由」を脅かす中国への共同の対処なのだ。中国が南シナ海でベトナムなどと領有権を争うスプラトリー諸島、パラセル諸島のほとんどを一方的に軍事占領し、「航行の自由」を脅かしているのである。

▲写真)ベトナムを訪問した米トランプ大統領とベトナム ダイ・クアン国家主席 (2017年11月12日) 出典)ベトナム政府 

アメリカもベトナムも中国のその侵略的な行動を強く非難してきた。トランプ大統領が昨年11月、このダナンを訪れた際、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席と会談して、中国の海洋での膨張を非難し、共同で抑止の行動をとることを合意していた。今回の空母カールビンソンのダナン寄港はその具体策の一つだった。ベトナム戦争での敵同士をいまや味方同士にしたのは中国の危険な拡張行動に反対する共通の連帯だったのである。

*トップ写真)ベトナム港に訪れたカールビンソン 出典)Official U.S. Navy Page

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